2005 Fiscal Year Annual Research Report
誘導型RNAi変異体バンクを利用したショウジョウバエ生殖細胞雌性化因子の探索
Project/Area Number |
16657004
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
高橋 邦明 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 助手 (80370112)
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Keywords | ショウジョウバエ / 生殖細胞 / 性決定 / GAL4 / UASシステム / RNAi / 遺伝子ノックダウン |
Research Abstract |
今回のスクリーニングでは、胚期から3令幼虫期まで継続してRNAiを発現させる必要があるため、時期特異的な2つのGAL4ドライバーを組み合わせて使用する必要がある。胚期で使用するGAL4ドライバーについては、すでに中胚葉領域(将来生殖巣となる領域を含む)で広く発現するtwist GAL4を選択している。一方、幼虫期の生殖巣に発現する(ただし生殖細胞には発現していない)GAL4ドライバーについては、GAL4の発現パターンからNP581,NP1624の2つのGAL4エンハンサートラップ系統が候補として考えられた。そこで、今年度はまず初めにコントロール系統を用いた予備実験を行い、この2つのGAL4エンハンサートラップ系統のうち、どちらの系統をスクリーニングに用いるかを決定した。この結果、twist GAL4とNP1624の2つのGAL4ドライバーの組み合わせが、最も効果的にマーカー遺伝子の発現を誘導することが明らかとなった。この結果を踏まえ、twist GAL4とNP1624の2つのGAL4ドライバーを用いて実際のスクリーニングを開始した。 我々の研究グループでは、これまでに誘導型RNAi変異体として約7,000遺伝子分の系統を作製しているが、本年度はこの7,000遺伝子の約5割にあたる3,500遺伝子を目標にスクリーニングを行った。しかしながら、上記に述べた幼虫期の生殖巣に発現するGAL4ドライバーの選別に手間取り、実際にスクリーニングを行った遺伝子数は700にとどまった。これまでにスクリーニングを行った700遺伝子の中には、生殖巣に強く発現していることが知られている遺伝子約300が含まれている。スクリーニングで得られた700遺伝子のうち、幼虫期の雌の生殖細胞でマーカー遺伝子の発現が認められた遺伝子は41個であった。残念ながら、これら41個の遺伝子中には本来の目的である生殖細胞雌性化因子に該当すると考えられる遺伝子は含まれていなかったが、雌特異的な致死性を示す既知の遺伝子、Female sterile (2) Ketelなどが含まれており、このスクリーニングを継続することで、生殖細胞雌性化因子に該当する遺伝子を同定することが可能であると考えられる。今後は継続してスクリーニングを行い、可能な限りスクリーニングする遺伝子の数を増やしていく予定である。
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