2004 Fiscal Year Annual Research Report
ニカメイガのホストレースにおける時計遺伝子と生殖隔離に関する生理生態学的研究
Project/Area Number |
16657009
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
宮竹 貴久 岡山大学, 農学部, 助教授 (80332790)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富岡 憲治 岡山大学, 理学部, 教授 (30136163)
積木 久明 岡山大学, 資源生物科学研究所, 教授 (60033255)
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Keywords | 種分化 / 交尾 / 概日リズム / 時計遺伝子 / 昆虫 / ホストレース / チョウ目 / ニカメイガ |
Research Abstract |
一日のうちの交尾時刻の異なるニカメイガのイネ系統とマコモ系統について、前者は広島県と滋賀県から、後者は茨城県と岡山県よりサンプルを採集し基礎集団を確立した。これらの集団を用いて、体サイズ、交尾活動時刻、アクトグラフを用いた歩行活動量、活動時間帯の比較を行った。成虫の体長は、マコモ系統のほうがイネ系統に比べて有意に大きかった。成虫雌雄ペアをプラスチック容器に入れ、ナイトショット機能付帯のハンディカムビデオで行動を撮影し、ビデオで録画して交尾時刻の解析を行った。交尾開始は、イネ系統のほうがマコモ系統より有意に早い時刻に生じ、また交尾継続時間はイネ系統がマコモ系統より有意に長いことがわかった。光電センサーによるアクトグラフを用いた歩行活動量の測定から、LD条件下において、イネ系統は暗期の前半に活発に行動し、マコモ系統は暗期の後半に活動した。両系統の活動時間帯には有意なずれがあった。交尾では両系統の分布の山が完全にずれていたが、歩行活動量では両系統の分布の山に有意差はあったものの、ある程度分布が重なった。このことからオスの活動は、交尾時刻が始まる以前の時間帯から活発になることがわかり、交尾時刻はオスよりもメスの活動によって決定される可能性が示された。概日リズムの周期長(τ)を推定したところ、イネ系統のそれは平均23.7+0.1時間であった。今後、マコモ系統のτも計測し、両系統の測時機構について比較解析する必要がある。ニカメイガのマコモ系統の頭部よりmRNAを抽出し、逆転写反応によってperiod cDNAを合成した。Degenerate primerを用いたPCRにより目的のクローニング断片を得ることに成功した。ニカメイガのperiod時計遺伝子の塩基配列シークエンスを行い、系統間の塩基配列変異を解析する準備が整った。
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