2005 Fiscal Year Annual Research Report
ニカメイガのホストレースにおける時計遺伝子と生殖隔離に関する生理生態学的研究
Project/Area Number |
16657009
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
宮竹 貴久 岡山大学, 大学院環境学研究科, 助教授 (80332790)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富岡 憲治 岡山大学, 大学院自然科学研究科, 教授 (30136163)
積木 久明 岡山大学, 資源生物学研究所, 教授 (60033255)
|
Keywords | 種分化 / 交尾 / 概日リズム / 時計遺伝子 / 昆虫 / ホストレース / チョウ目 / ニカメイガ |
Research Abstract |
一日のうちの交尾時刻の異なるニカメイガのイネ系統とマコモ系統について確立した基礎集団を用いて、以下のことを明らかにした。 (1)昨年報告したイネ系統とマコモ系統間のオスの活動量と交尾時刻の経時変化の結果より、本種の交尾時刻がオスよりもメスの活動によって決定される可能性が示された。今年度は光電センサーによるアクトグラフ装置を用いて、イネ系統とマコモ系統のメスの活動時間帯を比較した。その結果、イネ系統、マコモ系統とも消灯1時間後より活動をはじめた。活動量のピークは、イネ系統では消灯3時間後、マコモ系統では消灯2時間後に見られた。イネ系統21個体、マコモ系統11個体の活動時間帯を比較したが、両者の代表値には有意な違いが見られなかった。イネ系統はマコモ系統よりも早い時刻に交尾することがわかっているが、今回の結果は、メスの活動量ピークがこの系統間の交尾時刻の違いに影響しないことを示している。したがって、ニカメイガの交尾時刻に系統間差が見られる主な理由は、メスのコーリング開始時刻に依存するだろう。今後は、雌雄の活動性とメスのコーリング行動との関連についてさらに調べる必要がある。 (2)イネ系統の概日リズムの自由進行周期(τ)は、平均23.78時間(n=9)であった。これに大使、マコモ系統のτは24.00時間であった。メイガ成虫は短命のため、アクトグラフによるτの解析に困難が伴うことが明らかとなったので、今後はアクトグラフ測定の手法を改良する必要がある。 (3)マコモ系統の頭部よりmRNAを抽出し、逆転写反応によってperiod cDNAを合成した。Degenerate primerを用いたPCRにより目的のクローニング断片を得ることに成功し、ニカメイガのperiod時計遺伝子の部分的な塩基配列シークエンスを行った。
|
Research Products
(4 results)