2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16657016
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
島崎 研一郎 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (00124347)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土井 道生 九州大学, 高等教育総合開発研究センター, 助手 (00167537)
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Keywords | 気孔 / 青色光 / 光合成 / シダ / アジアンタム / 細胞膜H^+-ATPase / フォトトロピン / クロロフィル |
Research Abstract |
シダ植物アジアンタム(Adiantum capillus-veneris)を用いて、その気孔開口反応を調べた。まず、アジアンタムの気孔は胞子体の裏面にのみ存在し、気孔を形作る孔辺細胞には葉緑体がぎっしりつまっていた。アジアンタムには高等植物にみられる青色光受容体フォトトロピンと、フォトトロピンとフィトクロムのキメラタンパク質phy3が存在するので、まず、通常の青色光による気孔開口を調べた。この時、光は裏側から当てた。案に相違して赤色光の存在下では青色光による気孔開口は認められなかった。一方、このシダの気孔は赤色光で良く開いた。さらに、青色光照射によっても開口した。以上の事実はアジアンタムに気孔開口には光合成が関与することを示している。次に、赤色光の強度依存をとると約4-5μmol m_<-2> s_<-1>の光強度で半飽和した。赤色光はクロロフィルの良く吸収する660nm付近の光を用いているが、興味深いことにここにさらに遠赤色光(720nm)を加えて照射すると気孔開口が促進され、光合成のエマーソン効果が認められた。この反応にはフィトクロムには関与してないらしい。 また、この赤色光の効果は胞子体の裏側から光を照射したほうが5-6倍感受性が高く、孔辺細胞が直接光を受容し反応を行っていると推定された。気孔開口は一般的に細胞膜H^+-ATPaseが駆動するのでシダの気孔開口にもこの物質が関係しているかどうか、その活性化剤フシコクシンを加えて調べた。この時、材料としてシダの表皮を単離して用いた。その結果、フシコクシンによって気孔は良く開き細胞膜H^+-ATPaseが関与することが分かった。 一方、光によって一旦開いた気孔は暗くしてもゆっくりとしか閉じず通常の高等植物の10分の1以下の速度である。 以上、シダの気孔反応は高等植物のものとは多くの点で異なっており、現在、それぞれについて詳細な研究を行っている。
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