2004 Fiscal Year Annual Research Report
アオミドロを用いた成長制御・形態形成の解析システムの開発
Project/Area Number |
16657018
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
新免 輝男 兵庫県立大学, 大学院・生命理学研究科, 教授 (80114510)
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Keywords | 形態形成 / アオミドロ / 仮根 / 細胞壁 / 粘着物質 / サポニン / 微小管 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
植物細胞は細胞壁に囲まれており、移動できないので、形態形成は細胞の形態や細胞間の構築によって行われる。高等植物は多くの細胞からなり、体制が複雑なので、細胞レベルにおける解析が容易ではない。緑藻類の一種であるアオミドロは円筒形の細胞が一次元的につながった単純な形態をした、いわゆる細胞群体を形成している。流水などに生息する種類のアオミドロは末端の細胞を仮根に分化させ、基質に付着する。このようなアオミドロの藻体を切断すると、新しく末端になった細胞が仮根に分化する。仮根分化には次のような現象が起こる・1)死んだ細胞の細胞壁が脱離する。2)成長様式が分散成長から先端成長へと変化する。3)やがて、ロゼット状の形態をもった仮根が形成される。ロゼット仮根の形成には微小管が重要な役割を果たしていることが分かっている。3)粘着物質が分泌される。以上のような現象はいずれも植物生理学的に重要なものである。このような理由により、本研究者はアオミドロを用いた仮根形成の研究を行っている。仮根形成の分子機構を明らかにするためには、仮根形成にともなって発現する遺伝子の解析が重要である。仮根が形成されるのは末端細胞のみである。そのために、末端以外の細胞は遺伝子発現などの解析において、ノイズとなる。すなわち、全ての細胞において、仮根形成が行われる実験系の確立が重要である。鳥山(1952)はアオミドロをサポニン処理すると、単細胞性の異常細胞ができることを報告している。本研究者は、これは仮根ではないかと考えた。そこで、仮根形成能を持つアオミドロをサポニン処理したところ、多くの遊離細胞が得られ、これらは、すべて仮根へと分化した。このように、サポニンを用いて、単細胞を得る系を確立できた。
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Research Products
(1 results)