2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16657025
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
沼田 英治 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70172749)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志賀 向子 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90254383)
後藤 慎介 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 講師 (70347483)
関 隆晴 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (50171327)
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Keywords | カブトエビ / 初期発生 / 光形態形成 / 光受容物質 / オプシン / レチナール |
Research Abstract |
アジアカブトエビの卵が暗黒下におかれると、決まった段階で胚の形態形成が停止し、光が照射されると即座に形態形成が再開される。本研究は、この現象を発生学的、生理学的に詳細に記述し、光応答にかかわる生理機構を明らかにすることを目的として開始された。明条件下で発生を継続する胚および、暗条件下で発生を停止した胚の胚発生の形態をパラフィン切片により観察した結果、発生を停止する発達段階は原腸胚期の直後、器官形成の初期段階にあたることが明らかになった。また、光による発生再開の動画記録を行った。次に、この光による形態形成の誘導には、青色光および紫外線が有効であることを明らかにした。そして、これまでに知られている節足動物のオプシン遺伝子の構造をもとに、アジアカブトエビの成体で発現しでいるオプシン遺伝子を3種類クローニングし、その塩基配列を決定した。これらのうち1種のアミノ酸配列が昆虫の青色光および紫外線感受性オプシンと類似していたことから短波長感受性であると予想された。のこりの2種のアミノ酸配列は系統樹上で独立しており、吸収特性を予想することはできなかった。さらに、これらすべての遺伝子が成体の複眼と単眼、およびノープリウス幼生において発現していることを確認した。複眼および胚にレチナールが含まれるかどうかを分析しているが、まだ明確な結果は得られていない。今後、オプシン遺伝子の胚における発現、胚におけるレチナールの分析をすすめて、本研究の当初の目的である「アジアカブトエビの胚は、レチナールを結合したロドプシン様タンパク質によって光を受容して、初期発生を再開させる」という仮説を検証したい。
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Research Products
(2 results)