2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16657032
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
藤原 悟 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (10354888)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 富美子 理化学研究所, 播磨研究所・前田構造生物化学研究室, 客員研究員 (80321818)
小田 俊郎 理化学研究所, 播磨研究所・前田構造生物化学研究室, 客員研究員 (20321739)
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Keywords | 線維回折 / 中性子回折 / 小角散乱 / 細いフィラメント / トロボニン / 蛋白質重水素化 / 筋収縮 |
Research Abstract |
本年度は、中性子線維回折法の方法論の確立を目的とした実験・解析を行った。 前年度に組上げた中性子イメージングプレートを用いた中性子繊維回折測定システムについて、筋肉の細いフィラメントの配向試料(当初計画していたタバコモザイクウィルスは、極微量しか入手できなかったために用いなかった)を標準試料とした測定を行い、分解能10Å程度までの測定が可能であることを示す結果を得た。但し、測定システム周りの環境変化による背景雑音増大のため遮蔽強化の必要性も明らかとなった。遮蔽強化は今後の課題である。 また、前年度に行った重水素化トロポニンC(d-TnC)を用いた筋肉の細いフィラメントの中性子繊維回折測定に続いて、本年度は、d-TnIを調製し、d-TnIを含む細いフィラメント及びnativeなTnIを含む細いフィラメントのそれぞれについてCa^<2+>の有無の条件下において配向試料を調製し、その中性子繊維回折測定を行った。測定は前年度に行ったdTnCを用いた測定との直接比較が可能なように、日本原子力研究所所有の中性子小角散乱測定装置SANS-Jを用いて行った。各試料からの子午線上のTn由来の反射及び赤道反射を抽出し、d-TnIを含むフィラメントとnativeなTnIを含むフィラメントで強度分布が異なること、さらにCa^<2+>の有無で強度分布変化が起こることを示した。これらの強度分布を、前年度に行ったd-TnCを用いた測定から得られた強度分布と合わせてモデル計算による解析を行った。その結果、Ca^<2+>の有無によりTnCの配向が変化すること、並びにTnIにも大きな構造変化が起こることが明らかとなった(投稿準備中)。これは中性子線維回折法の有用性を示す重要な結果であり、このことにより試料調製から測定、解析までの方法論は確立されたと考えられる。
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