2004 Fiscal Year Annual Research Report
P型イオンポンプの無細胞タンパク質合成系を用いた発現法の開発と多量体形成機構
Project/Area Number |
16657033
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
今川 敏明 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20142177)
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Keywords | Na / K-ATPase / 無細胞タンパク質合成系 / 膜タンパク質 / P型ATPase / イオン輸送 / タンパク質間相互作用 / エネルギー変換 / 蛍光タンパク質 |
Research Abstract |
Na/K-ATPaseは分子量約10万の触媒鎖(α鎖)と糖タンパク質のβ鎖からなる膜タンパク質で、ATPの加水分解エネルギーを用いてNa^+を細胞外へK^+を細胞内へ対向輸送するイオンポンプである。本酵素が形成する細胞内外のイオン濃度勾配は、細胞の生存に必須であり、ATP加水分解反応中にリン酸化中間体(EP)を形成することからP型ATPaseに分類されている。Na/K-ATPaseの機能発現には、αβプロトマーからなるオリゴマー構造((αβ)_<2n>構造)の形成が非常に重要である。そこで本研究においては、タンパク質合成過程における本酵素のαβプロトマー形成やオリゴマー構造の構築を詳細に追跡するために、タンパク質の発現をコントロールしやすい無細胞タンパク質合成系を利用した、Na/K-ATPaseの機能的発現系の構築を目指し研究を行った。現在までに、His-tag/Myc-tag/Flag-tagをN-末端に付加したNa/K-ATPaseα鎖・β鎖タンパク質を無細胞タンパク質合成系を用いて発現するために必要なプラスミッドベクターを作成することができた。また、サブユニット間・αβプロトマー間の相互作用を蛍光エネルギー移動を用いて解析するために、蛍光タンパク質EGFP/YFP/CFPとの融合タンパク質としてNa/K-ATPaseα鎖・β鎖タンパク質を発現するためのベクターの作成を行った。これらベクターDNAを鋳型として用いmRNAの合成を行った後に、コムギ胚芽無細胞タンパク質合成システムによるタンパク質の合成を検討した。合成反応後の試料をSDS-PAGEおよび免疫ブロット法で解析したところ、N-末端にこれらのtag配列を含むNa/K-ATPaseα鎖・β鎖タンパク質の発現を確認することができた。これら合成されたα鎖・β鎖タンパク質を用いてATPase活性について検討したが、Na/K-ATPaseの特異的阻害剤ウワバインで阻害可能なATP加水分解活性は検出されなかった。膜分画や可溶化剤・リン脂質の添加によるNa/K-ATPase機能的発現及びにサブユニット間・αβプロトマー間の相互作用ついて現在研究を進めている。
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