2004 Fiscal Year Annual Research Report
tRNA修飾塩基ライシジンの生合成機構の解析とそれを標的とする創薬へ向けた研究
Project/Area Number |
16657041
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
関根 靖彦 立教大学, 理学部, 助教授 (80222074)
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Keywords | tRNA / 修飾塩基 / ライシジン / tilS / アンチコドン |
Research Abstract |
1.大腸菌TilsによるL合成反応機構の解明:TilSのN末領域にはNTPのリン酸結合の開裂を司るP-loopモチーフが存在する。L合成のATP依存性を考慮すると、L合成反応は、P-loopによるATP加水分解により生じたAMPがtRNA^<Ile>のアンチコドンのCに付加したアデニル酸中間体(adenyl-tRNA)を経て、tRNAIle+ATP→adenyl-tRNA^<Ile>+PPi、adenyl-tRNA^<Ile>+lysine→L-modified tRNA^<Ile>+AMPのように進行すると予想された。in vitro L合成反応系を用いて解析を行い以下のような結果を得た。(1)未修飾tRNA^<Ile>のin vitro転写物にもL修飾が起こったことから、TilSの基質認識にはtRNA^<Ile>に存在する各種修飾塩基は不要であることが分かった。(2)α位標識のATPとγ位標識のATPを使うことにより、ATPの加水分解でAMPとピロリン酸が生じることがわかった。これは上記の反応機構を支持する。(3)P-loopモチーフに変異を導入したTilSタンパク質はL合成活性を失った。 2.大腸菌TilSによるtRNAIle(CAU)の認識機構の解明:TilSによるtRNA^<Ile>の認識部位を同定するために、様々な変異を施したtRNA^<Ile>及びtRNA^<Met>のin vitro転写物を調製し、これらを用いてin vitro L合成反応系で酵素反応速度論解析を行い、tRNAの変異がL合成反応に与える影響を調べた。その結果、L合成には、アクセプターステムのC4G69、C5G68塩基対、アンチコドンステムのG27U43塩基対、アンチコドンループの33U、34C、37Aが重要であることがわかった。tRNA^<Me>tとの区別には上述のアクセプターステムとアンチコドンステムの3つの塩基対が使われていると結論できた。
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