2004 Fiscal Year Annual Research Report
KCC3と胃プロトンポンプとの共役による新しい塩酸分泌機構の解明
Project/Area Number |
16657042
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
酒井 秀紀 富山医科薬科大学, 薬学部, 教授 (60242509)
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Keywords | 胃プロトンポンプ / H^+, K^+-ATPase / KCl共輸送体 / KCC / 胃酸分泌細胞 / 胃粘膜 / 胃酸 |
Research Abstract |
胃酸(塩酸:HCl)のH^+は胃プロトンポンプ(H^+,K^+-ATPase)により分泌されるが、Cl^-を輸送する分子実体は何なのか?本研究では、KCl共輸送体(KCC)に着目した研究を行い、以下のような新しい知見を得た。 1.ウサギおよびラット胃酸分泌細胞におけるKCC遺伝子の発現を検討したところ、KCC1やKCC4は単離胃酸分泌細胞より単離胃粘膜において多く発現していた。一方、KCC3は胃粘膜より胃酸分泌細胞に多く発現していた。単離胃酸分泌細胞由来の膜画分においてKCC3蛋白質の発現が確認できた。 2.免疫組織染色によりラット胃粘膜切片におけるKCC3の分布を観察したところ、胃粘膜中で特に胃酸分泌能の発達している胃腺上部(管腔に近い部位)における胃酸分泌細胞に高発現していることがわかった。この分布パターンは、anion exchanger-2 (AE2)の場合と同様であり、KCC3の胃酸分泌機構への関与が示唆された。 3.ヒト胃の各部位におけるH^+,K^+-ATPaseとKCC3の蛋白質発現量を調べたところ、両者の発現レベルには正の相関性が認められた。 4.胃プロトンポンプの安定発現細胞(腎臓由来HEK293細胞)にKCC3を共発現させ、H^+,K^+-ATPaseの酵素活性を、細胞膜画分のATP加水分解能を測定することにより調べた。H^+,K^+-ATPase活性は、KCC3発現細胞の方がコントロールの細胞に比べ高かった。したがって二次性能動輸送体のKCC3は、一次性能動輸送体の胃プロトンポンプと機能的に連関し得ることがわかった。
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