2004 Fiscal Year Annual Research Report
生体膜脂質非対称分布の高分解能分析法の確立とアレルギー反応機構解明への応用
Project/Area Number |
16657046
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
平嶋 尚英 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (10192296)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古野 忠秀 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 講師 (80254308)
中西 守 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (90090472)
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Keywords | リン脂質非対称分布 / 細胞膜 / 蛍光共鳴エネルギー移動 / アレルギー / マスト細胞 / ラフト |
Research Abstract |
平成16年度は、脂質非対称分布を測定する系として蛍光蛋白質を用いる系の確立を行った。 (1)方法 蛍光タンパク質YFP(yellow fluorescence protein)に膜アンカーシグナル配列を付加して細胞に発現させ、これに蛍光ラベルした脂質を導入して、蛍光タンパク質と蛍光脂質の間のFRETによる非対称分布の変化を検出する系の構築を行った。膜アンカーシグナルとしては、生体膜のラフト構造に局在化するLyn及びGAP43のN末20アミノ酸残基を付加したもの、及び、非ラフト構造に局在化するK-rasのC末20アミノ酸残基を付加したものをマスト細胞株であるRBL-2H3細胞及びCHO細胞に発現させることを試みた。 (2)結果 まず、LynのN末側20アミノ酸残基YFPのN末側に付加した遺伝子をRBL-2H3細胞及びCHO細胞に導入した。これによって、N末端がパルミトイル化され、ラフト領域にYFPが局在する。エレクトロポレーション法により、LynN20-YFPを発現ざせたところ、RBL-2H3もCHO細胞もどちらも膜および細胞質にも均一に蛍光が観察され、膜のみに局在が限定されなかった。そこで、別のラフト局在蛋白質であるGAP43のN末端を結合させたGAP43N20-YFPを発現させたところ、細胞膜への局在は観察されたが、細胞膜に均一ではなく、局所的にスポット状に分布した。一方、ゲラニルゲラニル化修飾により非ラフト構造に局在するKrasのC末端側20アミノ酸を結合させたYFP-KrasC20を発現させたところ、細胞膜のみに均一に分布した。 現在GAP43N20-YFPとYFP-KrasC20を導入した細胞の安定発現株を得た。 今後、NBDラベルしたリン脂質(PS、PE、PC)をYFP局在化細胞に導入して、両者の間のFRETをもとにアポトーシス誘導後のリン脂質の動態を追究する予定である。
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