2004 Fiscal Year Annual Research Report
リボソームによるmRNA切断:分子機構と生理的意義
Project/Area Number |
16657050
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
饗場 弘二 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20025662)
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Keywords | tmRNA / トランス翻訳 / mRNA切断 / nonstop mRNA / リボソーム / 翻訳サーベイランス / リボソームの停滞 / 新生ポリペプチド |
Research Abstract |
バクテリアのtmRNAはtRNAとmRNAの両方の機能を持つユニークな低分子RNAで、トランス翻訳において中心的な役割を果たしている。トランス翻訳モデルは、モデル遺伝子の解析から提唱され、その機構のユニークさから多くの注目を浴びている。 本研究では、モデル遺伝子を用いた解析より、終止コドンがトランス翻駅の新たな標的であること、この終止コドンにおけるトランス翻訳機構の解析を行なった結果、新生ポリペプチド鎖のC末端アミノ酸配列が決定因子であること、C末端アミノ酸配列はRFによる翻訳終結反応を阻害していること、終止コドンの種類に依存しないことなどを明らかにした。さらに解析を進めた結果、終止コドンにおけるトランス翻訳は、終止コドンの位置でリボソームが停滞した結果、mRNAの切断が起こり、nonstop mRNAの3'末端が産生されたためであることを明らかにした。翻訳伸長中においてリボソームが停滞した場合にもmRNAの切断とトランス翻訳が起こることから、リボソームの停滞は、一般にmRNAの切断とトランス翻訳を引き起こすと結論付けた。 これらの一連の解析から、細胞にはリボソームの停滞を指標に、mRNAの異常と翻訳異常を察知し、mRNA切断とトランス翻訳を作動させ、mRNAと不完全タンパク質の速やかな除去とリボソームの再生を促す積極的な『翻訳サーベイランス機構』が備わっていると結論付けた。本研究結果は『翻訳サーベイランス機構』を利用した遺伝子発現制御機構や、真核生物における『翻訳サーベイランス機構』の探索などにもつながることが期待される。
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Research Products
(6 results)