2005 Fiscal Year Annual Research Report
生理反応を考慮した地震時の身体損傷度測定用ダミーの開発に関する基礎的研究
Project/Area Number |
16657075
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
宮野 道雄 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 教授 (00183640)
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Keywords | 生理指標 / 人的被害 / 身体損傷度 / 地震被害 / ダミー |
Research Abstract |
阪神・淡路大震災における典型的な死傷形態が既往の研究により明らかにされている。それらの結果によれば、この震災での死者のほとんどは、地震動により倒壊した建物が成傷器であり、死因としては胸部や胸腹部を圧迫されたことによる圧死(窒息死)が最も多かった。その発生メカニズムを明らかにするために、CTスキャナーを用いた人体での胸部圧迫実験や、有限要素法による胸部圧迫コンピュータシミュレーションを行なってきた。 本年度の研究では、昨年度に引き続き救急処置トレーニング用シミュレータであるレサシアン・スキルガイドモデル((株)京都科学製)の胸郭内に変位計および加速度計((株)共和電業製)を設置し、準静的荷重および衝撃荷重によって人体に生じる変位・加速度を計測し、CTスキャナー実験およびシミュレーション解析の結果と比較することによって、より正確な胸部の荷重-変位関係を導き出すことを目指すとともに、計測手法の開発を目的とした。 また、本年度には載荷重量を増すために、レサシアン・スキルガイドモデルの胸部受圧板をアルミ製にし、使用バネも180〜240kgに耐えられるよう強化した。バネ強度が変更になったため当然のことながら、昨年度の実験により得られた変換係数は異なるが、変位量と荷重の間には線形関係が得られており、基本的な実験はほぼ成功したと考えている。今後は、胸郭の変形量と窒息死にいたる閾値の関係を医学的な知見に基づき明らかにして、胸部圧迫による具体的な死亡危険度評価に結びつける必要がある。また、衝撃荷重による実験が、どの程度までの重量で可能かを試行することが求められる。
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