2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16658003
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
高畑 義人 岩手大学, 農学部, 教授 (10133894)
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Keywords | 種間雑種 / 雑種胚 / 胚乳 / 遺伝子単離 / 生殖的隔離 / Brassica |
Research Abstract |
遠縁交雑は、異なる種間や属間の交雑によって、新たな遺伝子型を作出しようとするもので、種内交雑では得られない変異拡大の方法である。しかし、異なる種間の交雑のため、生殖隔離機構が働き雑種の育成が困難である。その主要な原因の1つとして雑種胚や雑種胚乳の崩壊がある。これに対し、雑種獲得のために胚培養等の様々な技術が開発され育種に貢献している。しかし、雑種胚等の崩壊の機構は不明のまま現在に至っている。本研究は、アブラナ科作物を材料に雑種胚等崩壊の機構を形態学及び分子生物学的手法を用い解析する。 Brassica napus(西洋ナタネ類)はB.rapa(syn.campestris)(菜類)とB.oleracea(キャベツ類)を両親とする複二倍体種である。このB.napusとその両親種の間の種間交雑はB.napusとB.rapaの間は容易であるが、B.napusとB.oleracea間はほとんど雑種が得られないことが経験的に言われている。昨年度まで、交雑実験、形態学的研究から実証的データによる確認並びに胚崩壊の時期を決定した。今年度は両者の交雑組合せの胚珠からmRNAの単離を行い、SSH法で遺伝子発現の差異を調査した。その結果、種子稔性のほとんどないB.napus x B.oleraceaの胚珠で特異的に発現している遺伝子は単離できなかったが、種子稔性の高いB.napus x B.rapaの胚珠で特異的に発現している247のESTsを単離することができた。これらESTsについて相同性検索により機能推定を行ったところ、unclassified proteinesが46.2%、metabolismが15.0%、classification not yet clear-cutが7.7%等であり、単離されたESTsの中で最も多く単離されたものはsenescence-specific cystein proteaseであった。これらの中から5つの遺伝子を選択し、両交配組合せの雑種胚珠における遺伝子発現をRT-PCR法で調査したところ、すべて種子稔性の高いB.napus x B.rapaの胚珠で高発現していることが確認された。
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Research Products
(2 results)