2004 Fiscal Year Annual Research Report
果樹園とその周辺二次林における送粉共生系ダイナミクスの解析
Project/Area Number |
16658015
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
若菜 章 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (10158579)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
比良松 道一 九州大学, 大学院・農学研究院, 助手 (30264104)
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Keywords | 果樹 / 送粉共生系 / フェノロジー / 保全生態 |
Research Abstract |
大学附属農場の果樹園において人為的に植栽された果樹類9種,緑化植物7種,および野生植物26種の開花フェノロジーを調査した.1時間当たりの平均訪花数および平均訪花昆虫種数は,それぞれ,果樹類で28,10,緑化植物で23,5,野生植物で6,4となり,果樹類,緑化植物の方が野生植物よりも送粉者の利用度が高かった.この結果は,比較的多種の果樹類や緑化植物が,送粉者の重要な餌資源として機能していることを示唆している. 野生植物群集の開花フェノロジーは,7月頃に開花種数が減少する構造を示した.この時期に開花するキンカンやハナツクバネウツギ(アベリア)では,送粉者の利用度が高かった.したがって,野生の餌資源が減少する夏期に開花する園芸植物は,送粉者の代替資源としての役割が大きいと思われる.次年度も引き続き,同試験サイトにおける送粉共生系ダイナミクスの詳細な解析を行っていく. 自家和合性を示すキンカンの開花前の花蕾を袋掛けしたところ,結実率は36.8%と自然受粉の半分程度となった.一方,開花前に除雄してそのまま放置すると,結実率は68.9%と自然受粉区と同程度となった.この事実は,自家和合性キンカンの結実量の増大に対する送分者の貢献度が比較的大きいことを示唆している.果樹類の結実を省力的かつ効果的に制御する上で,自然界の送粉者の存在は重要であると思われた.現在,他の果樹類について同様の調査を行っている.
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