2004 Fiscal Year Annual Research Report
首都圏における砂礫地生態系ネットワークの再生手法の検討
Project/Area Number |
16658017
|
Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
倉本 宣 明治大学, 農学部, 教授 (60287886)
|
Keywords | カワラノギク / コアジサシ / カワラバッタ / 風散布 / 屋上営巣地 / 河原 / メタ個体群 / 分断化 |
Research Abstract |
本年度は多摩川におけるカワラノギクの種子散布についての研究、カワラバッタのメタ個体群動態についての研究、コアジサシの屋上人工営巣地についての研究を行った。 コアジサシは当該営巣地に飛来しなかったので、コアジサシについてはこれまでの営巣状況を整理し、営巣しなかった原因を検討してEATESにおいて発表した。これは、コアジサシが広範囲の営巣地の中からその年の営巣地を選んでいるからで、首都圏の砂礫地生態系ネットワークはコアジサシにとっては分断化が進んでいないといえる。 カワラノギクの種子は風散布で大量に徹布された。種子の飛行高度は2.5m未満であったので、河川敷の高茎草原を飛び越えることができないと推定される。人工的に造成し、除草を続けている河原では草原化した河原と比べてはるかに遠距離に種子が散布することが確認された。現在の河原では、植物に覆われた場所が多いので、カワラノギクの種子散布にとってはきわめて分断化が進んでいるといわなければならない。 カワラバッタ4641匹を標識し、再捕獲した。寄り州や中州を単位としてサブ個体群を考えると、別のサブ個体群への移動は85匹でみられた。移動距離の中央値である316mを最大移動距離と仮定してその1/2の158mのバッファーをGISを用いて生息地上に発生させ、生息地のネットワークについて検討した。この中での移動が91.8%を占めており、バッファー内の交流は盛んでメタ個体群として安定していると考えられる。さらに、半径を2倍にしてバッファーを発生させ、広範囲な個体群の結合をみたところ、3つのグループにまとまり、孤立した個体群はみとめられなかった。小作取水堰のある56.0kmと53.2〜52.6kmが分断された区域であった。 調査した3種の生息・生育地の分断化の程度は、カワラノギク>カワラバッタ>コアジサシとなっていると考えられる。
|
Research Products
(2 results)