2005 Fiscal Year Annual Research Report
シンク能の向上を目指したアブラナ篩管でのRNAを介した情報伝達機構の解明
Project/Area Number |
16658030
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
中村 進一 秋田県立大学, 生物資源科学部, 助教授 (00322339)
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Keywords | 篩管 / RNA / シンク / ソース / アブラナ |
Research Abstract |
前年度の実験結果によりアブラナ篩管液中にRNAを検出することができた。そこで本年度はアブラナ篩管においてRNAを介した情報伝達が存在することの検証を目指し、様々な生育条件がアブラナ篩管液RNAの組成に変化を及ぼす影響について調べた。 まずはアブラナ篩管液の採取を通常とは異なる生育条件で栽培した植物体を用いて試みた。5℃といった低温処理や、40℃程の高温処理など温度条件を変えた植物体からは篩管液を採取することはできなかった。一方、植物にとっての多量必須元素である窒素や硫黄に関して、欠乏状態にした植物体からは標準の生育条件で育てた植物体からと同様に篩管液を採取することができた。また、微量元素である銅や亜鉛を高濃度で処理した植物体や有害な重金属であるニッケルで処理した植物体からも篩管液の採取は可能であった。 これらの様々な生育条件により栽培した植物体から採取したアブラナ篩管液からEASYPrep RNA(Takara, Shiga, Japan)を用いて、RNAの抽出を行った。各条件で栽培した植物から採取した篩管液は抽出操作を行うまではRNA保存溶液であるRNAlater中で-20℃で保存した。尚、一処理区あたり20μLの篩管液をRNAの抽出に用いた。 精製後のRNAは10%ポリアクリルアミドゲルを用いて、電気泳動により分離し、銀染色によって検出を行った。得られたバンドは全般にスメアになり、明確なバンドという形で泳動パターンの比較を行うことはできなかった。しかし、硫黄欠乏処理、窒素欠乏処理した植物体から採取した篩管液RNAの泳動パターンは、スメアなシグナルが得られた箇所が標準の生育条件で栽培した植物体の篩管液から得られるものと異なっていた。これらの結果は植物体の栄養条件がアブラナ篩管液の組成に影響を及ぼしている可能性を示している。
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