2004 Fiscal Year Annual Research Report
生物の酸素耐性遺伝子dprの制御による生体酸化機構の解明とDprの起業化の試み
Project/Area Number |
16658032
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
神尾 好是 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (00109175)
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Keywords | 乳酸菌 / Streptococcus mutans / 酸素耐生 / Dpr / streptonigrin |
Research Abstract |
今日まで、生物の酸素障害防御の立役者は、カタラーゼ[乳酸菌においては、カタラーゼの代わりに2成分性パーオキシダーゼ(AhpR)が存在する]及びスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)とされてきたが、申請者らは、乳酸菌S.mutans及びS.thermophilusに両酵素が全く関与しない新規鉄結合蛋白質Dpr (Dps like peroxide resistance)を介した酸素耐性機構の存在を世界に先駆け発見した。さらに本酸素耐性は、Dprがフェントン反応を介した[・OH]の発生を阻害することで獲得されることを発見した。これまで、dpr欠損変異株は酸素存在下で生育不可能であることを明らかにした。さらに、S.mutansのdpr欠損損変異株から10^<-4>の高頻度で酸素耐性株への自然復帰株が生じる事実を見出した。本研究ではこの酸素耐性復帰株(dad)の耐性復帰機構の解明を目的として、dpr欠損株より過酸化水素耐性の強い耐性復帰株(dad1)と耐性の弱い復帰株(dad5)の2株を分離した。さらに、本変異株は細胞内鉄濃度低下により酸素耐性が復帰した可能性があるので、それを細菌の細胞内鉄濃度が高いほどその毒性が大きくなることが知られている抗生物質streptonigrin (Sng)を用いて検討した。その結果、dpr欠損株は野生株よりも低い耐性を示し、dad1はそれらよりも高い耐性を示した。dad5は野生株と同程度であった。また、dpr欠損株から分離されたSng耐性変異株6株は、その内5株が好気条件下でコロニーを形成した。現在、ESR法を用いて各株の細胞内遊離鉄含量の測定を行っている。
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Research Products
(1 results)