2004 Fiscal Year Annual Research Report
微生物の共生関係を巧みに利用した嫌気共生培養による未知環境微生物の分離手法の確立
Project/Area Number |
16658036
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
井町 寛之 長岡技術科学大学, 工学部, 助手 (20361933)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌形 洋一 産業技術総合研究所, 生物機能工学研究部門, グループリーダー (70356814)
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Keywords | メタン生成古細菌 / 水素分圧 / 嫌気共生培養 / 16S rRNA遺伝子 |
Research Abstract |
未培養のメタン生成古細菌を分離・培養する1つの方法として、低分圧の水素を連続的かつ緩やかに供給可能な嫌気共生培養系に着目し、様々な嫌気環境から未培養なメタン生成古細菌の分離を試みた。 10種類の嫌気環境サンプルを植種源として、嫌気共生系によって分解されるエタノール、酪酸及びプロピオン酸を基質として集積培養を行った。エタノールでの集積培養には1週間、酪酸及びプロピオン酸では1-3ヶ月程度を要した。その時の水素分圧は、エタノールの集積系では20-100Pa程度、酪酸及びプロピオン酸の培養系では数十Pa程度に保たれていた。これらの培養系内には、メタン生成古細菌に特有のF_<420>様の自家蛍光を持つ微生物と、数種の形態が異なる嫌気共生菌と思われる微生物を確認できた。これら集積培養系内の古細菌のクローン解析を行った結果、既知のメタン生成古細菌と97%以上の高い相同性を示すクローン配列が検出された培養系もあったが、プロピオン酸を基質としたいくつかの集積培養系から、Methanomicrobia綱に属する目レベルで新しい配列(Rice cluster I)やMethanomicrobiales目に属する科レベルで新規な配列(グループMM-1)などが高頻度に検出された。さらにこれらプロピオン酸集積培養系を植種源とし、一般的にメタン生成古細菌が単独で利用可能な水素やギ酸で培養を行った結果、Rice cluster I等に属する新規なメタン生成古細菌を優占的に培養することができた。 以上の結果から、嫌気共生培養系を用いることで未培養系統分類群に属するメタン生成古細菌を選択的に分離・培養できる可能性を示した。
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