2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヒメツリガネゴケの一次形質転換系を用いた低温耐性関連遺伝子の解析
Project/Area Number |
16658040
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
竹澤 大輔 埼玉大学, 理学部, 助教授 (20281834)
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Keywords | ヒメツリガネゴケ / 原糸体 / 形質転換 / 低温耐性 / 遺伝子 |
Research Abstract |
本研究では低温やアブシジン酸(ABA)処理により高い耐凍性を発揮するヒメツリガネゴケ原糸体細胞の一次形質転換発現系を用いることにより、植物からの低温耐性因子のスクリーニング系の確立と遺伝子の単離を行うことを目的とした。当初の目的であった一過的発現体を用いたスクリーニングの開発は、すでに大きな成果を上げている。様々な条件検討の結果、ヒメツリガネゴケプロトプラストにPEG法で遺伝子導入後1週間の形質転換体をプログラムフリーザーで-2.4C/hで-10Cまで緩速凍結し、4Cで融解した後に再成長させることにより、導入された遺伝子の効果を容易に判定できるプロトコールを確立した。ABA応答に関わる転写因子ABI3遺伝子を一過的に発現させたヒメツリガネゴケ形質転換細胞では、凍結後の生存率がベクターのみの場合に比べ、著しく増加していた。この結果は、遺伝子導入によりコケ細胞のストレス耐性を改変した最初の例であり、また、申請者の知る限り、植物細胞では最短時間でストレス関連遺伝子の機能評価が出来る実験系である。さらに、このスクリーニング系をハイスループットにて確立するための予備実験をおこなった。その結果、96wellプレートを用いた多検体同時形質転換系を確立し、今後の凍結実験の検討によりハイスループット系に持ち込むことが可能であることが示された。これらの実験は、蘚類を用いた植物ストレス耐性の新たな評価系の確立に大きく貢献することが期待される。
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