2004 Fiscal Year Annual Research Report
開花プロセス、香気成分生合成・発散に果たすバラ香気成分の役割の解明
Project/Area Number |
16658050
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
渡辺 修治 静岡大学, 農学部, 教授 (90230979)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 正和 静岡大学, 農学部, 助教授 (10293614)
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Keywords | ミルセン / バラ / 剣弁化 / 開花 / 香気成分 |
Research Abstract |
本研究においては特に、ミルセンなどの炭化水素系モノテルペン類がバラの萼片の展開期に発散されはじめ、かつ、本化合物がバラの開花速度に影響を与えるという実験事実、さらに多個体のバラの集団中、一部のバラの開花時期が他のものより早いという観察事実を踏まえ、一部の個体から発散されるこれらの化合物が開花のシグナルとして機能する、もしくは他の香気成分の生合成に関わる遺伝子を発現する作用を有するとの仮説に基づいて研究を展開する。本研究の目的はミルセンの暴露によって発現する花弁特異的遺伝子の機能を解明し、香気成分の示す開花、香気成分生合成などに及ぼす影響を明らかにし、同時に開花制御に新たな技術を提供することにある。 1.ミルセンのバラ花弁の展開に及ぼす影響 1)ミルセンの暴露量の影響:70リットル容のプラスチック容器内で花弁が展開し始めたソニア切り花10〜20本を,蒸留水を満たした試験管に挿し静置した。容器4隅に2.5グラムもしくは0.25グラムずつのミルセンを含むバイアルを設置し,500ml/minの速度で給排気した。ミルセン発散量は排気口に設置したテナックス吸着管に吸着された量を基に算出した。その結果,2.5グラム暴露群では花弁の剣弁化だけでなく,成熟,老化速度が著しく,一部薬害が観察された。他方,0.25グラム暴露群では剣弁化が対照群に較べ著しく,花弁の展開開始は早まるものの,展開速度は遅延した。 2)ミルセン暴露時間の影響:暴露時間は1,3,6,12,24,48,72時間で検討した。1-3時間ではミルセン暴露の影響は顕著ではなかったがそれ以上の暴露により1)で見られたと同様な変化が見られた。 2.ミルセン暴露による花弁における生理化学的変化の原因追及 3)現時点ではミルセン暴露による花弁展開の緩慢化,剣弁化がいかなる要因で起こるのかは明らかになっていない。しかし暴露3-6時間内に遺伝子発現をはじめとした変化が起こっていることが強く示唆された。まず,正常花弁から遺伝子ライブラリーを作成し,これらの遺伝子群から生理的変化に関連すると思われる遺伝子をターゲットにして次年度以降研究を継続する。
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