2004 Fiscal Year Annual Research Report
食品、嗜好品の中からヒトの突然変異を抑制する成分を探索する
Project/Area Number |
16658059
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Research Institution | National Institute of Health and Nutrition |
Principal Investigator |
山田 晃一 独立行政法人国立健康・栄養研究所, 研究室長 (00182527)
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Keywords | 突然変異 / 食品成分 / バイパス複製 / 色素性幹皮症 |
Research Abstract |
本研究は突然変異をもたらす異常なDNA複製(error-proneバイパス複製)をヒト細胞に於いて検出する系を用いて、そこに食品や嗜好品の成分を添加し、突然変異を抑制する成分をスクリーニングするものである。しかも後述のように、その成分は癌細胞に於いて、選択的にそのバイパス複製を阻害し、癌細胞を殺す可能性が高い事が判明してきた。すなわち、突然変異を抑制し、癌細胞をアポトーシスに至らしめる食品成分を見つける事が本研究の目的である。 初年度の今年は現在までに、β-carotene、ascorbic acid、α-tocopherol、genistein(マメ類のイソフラボン、checkpoint系に対する修飾活性が報告された。酸化的ストレス、紫外線に対する防御効果あり)、resveratrol(赤ワインのポリフェノール)、epigallocatechin gallate(緑茶のカテキン)、curcumin(ウコンの黄色色素抗炎症、抗酸化作用あり、TPAによって誘導されたprotein kinase Cを阻害する)を紫外線照射したHeLa細胞に添加し、アルカリ性蔗糖密度勾配遠心法で複製産物を解析した。これらの中で、β-caroteneは、liposomeに包埋されたもの(協和発酵製"水溶性バイオカロチン02")を用い、α-tocopherolはまず、50mMのEtOH溶液を作り、それを培地に添加してから、超音波処理を行って懸濁した。ascorbic acidとepigallocatechin gallateはミリQ水に溶かし、これら以外はDMSOに溶かして培地に加えた。結果は、β-carotene(12.5〜50μM)、ascorbic acid (25〜100μM)、α-tocopherol (25〜100μM)、epigallocatechin gallategenistein (5〜100μM)について顕著な阻害は見られなかった。 curcumin(5〜100μM)では、25μMと50μMで完全阻害が見られた(100μMではdegradation様のプロフィル)。最近の文献では、curcuminはCOP9 signalosome(CSN)kinase阻害剤ということで、バイパス複製の制御にproteasome/CSN系が絡んでいるとしたら大変興味深いので、期待したが、NB1RGB細胞においても同程度の阻害があり、再びHeLa細胞で紫外線照射後の一本鎖切断の蓄積を観察したところ、22、23番をピークとする切断の蓄積を検出した。Curcuminはヌクレオチド除去修復を阻害して、又は単独でDNA鎖切断活性を持つことが明らかになった。Genistein (25〜400μM)については、HeLa細胞で25〜100μMで部分阻害、200μMでさらに阻害、400μMではdegradation様のプロフィルが見られた。NB1RGB細胞においても100〜300μMで弱い阻害があり、HeLa細胞で紫外線照射後の一本鎖切断の蓄積を観察したが、200〜300μMでやはり弱いDNA鎖切断活性を持つ。Resveratrol (10〜200μM)については、HeLa細胞でdose依存的に阻害が見られた。
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Research Products
(1 results)