2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16658063
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
寺田 珠実 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (70201647)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鴨田 重裕 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 講師 (80282565)
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Keywords | 樹木 / 分化 / 脱分化 / 細胞周期 / 細胞培養実験系 / 発根 / アズキ |
Research Abstract |
本研究は、樹木細胞の分化機構とくに発根機構の解明をめざすもので、昨年度に引き続き増殖制御の現象に関わる安定したモデル細胞培養実験系を構築し、発根因子を探索することを目的とした。分化・脱分化細胞間の相違点を探るため、脱分化細胞(培養細胞)の誘導に成功したトウヒ類(エゾマツ、アカエゾマツ)を用いてまずmRNAの単離を試みた。トウヒ類は原植物の実生、培養細胞とも生長が遅く、サンプル量が希少でディファレンシャルディスプレー法に供する事は適わなかった。対象を被子植物に広げ、既存のポプラに加え、新規にマメ科のイヌエンジュを用いてモデル実験系の構築を試みた。ポプラに関しては培養細胞の大量培養は可能だが、再分化細胞の生長は極めて遅い等、いずれの場合も分化・脱分化双方の細胞を短期間で大量に入手する系を確立することは出来なかった。そこで樹木細胞の大量培養を行う間に、生育の早い草本植物、マメ科に留意してアズキを用いて発根実験を試行することにした。アズキはフロリアライト(日清紡)上に蒔種し、発芽後7日から10日の胚軸を第一葉から6cmのところで切り取って実験に供した。この上胚軸を細胞周期関連試薬であるアフィディコリン、レスベラトロールなどの薬剤、あるいは各種植物ホルモンを0.0001ppmから10ppmの各種濃度に調製した試験液(5ml)に浸漬し、発根の様子を観察した。ゼアチン(1ppm)では浸液部先端が膨らみカルス化が疑われる様子が観察できたが、発根せず褐変も見られた。レスベラトロール(1ppm)でも褐変現象のみ観察された。アフィディコリンでは0.0001ppmから0.2ppmの非常に幅広い濃度範囲で発根し、とくに0.02ppmでは複数本の発根が見られた。樹木への応用にはまだまだ浸漬実験方法の検討を要するが、植物の発根に細胞周期の関与が示唆される非常に興味深い結果を得る事ができた。
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