2004 Fiscal Year Annual Research Report
自然感染に対する魚の生体防御へのバクテリオファージの関与
Project/Area Number |
16658083
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中井 敏博 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 教授 (60164117)
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Keywords | バクテリオファージ / 魚類細菌感染症 / エドワジエラ症 / 細菌性冷水病 / レンサ球菌症 / Edwardsiella tarda / Elavobacterium psychlophilum / Streptococcus iniae |
Research Abstract |
1.養殖アユ、ニジマスおよびアマゴ病魚、また野生のオイカワおよびフナ病魚から改変サイトファーガ寒天培地上で黄色コロニーを形成する128菌株を得た。DNAgyraseを標的としたPCRによってこれらはすべてFlavobacterium psychlophilumに同定された。徳島県下のアユ養殖場の飼育水および冷水病罹病アユを材料として、集殖法により感染性の異なるF.psychlophilumファージ5株が得られ、これらのファージはその形態学的特徴から、Myoviridae科,Podoviridae科およびSiphoviridae科に分類された。F.psychlophilum128株のファージ感受性を調べた結果、アユ由来株では8種類のファージ型が確認されたが、ニジマスなどサケ科魚類から分離された菌はいずれのファージにも全く感受性を示さず、オイカワとフナ由来株は一部に感受性が認められた。即ち、アユ由来株は限られたファージ型を有し、サケ科魚類由来株とはファージ型が異なることが明らかとなった。 2.エドワジエラ症(Edwardsiella tarda感染症)が多発している愛媛、広島および三重県下のヒラメ、マダイおよびクロダイ養殖場において、病魚と飼育水から集殖法により合計90株のE.tardaファージを得た。これらのファージはその形態学的特徴から、Myovilidae科とPodoviridae科に分類された。ヒラメ、マダイ、クロダイおよびウナギ由来のE.tarda34株のファージ感受性を調ぺた結果、本菌のファージ型は多型であったが、菌の由来(分離宿主あるいは場所)とファージ型にはある程度相関性が認められた。特に、ヒラメ、マダイおよびクロダイ由来E.tardaの80%以上はヒラメ由来ファージに感受性を示した。即ち、ヒラメ由来のE.tarda株のファージ型はかなり限られていることが明らかとなった。 3.愛媛県下のヒラメ養殖場において、レンサ球菌症(Streptococcus iniae感染症)罹病魚からS.iniaeファージ2株を分離した。ヒラメその他の魚から分離されたS.iniae27株のファージ感受性を調べた結果、すべての株がいずれのファージにも感受性を示した。即ち、S.iniaeのファージ型は均一であることが明らかとなった。
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