2004 Fiscal Year Annual Research Report
二枚貝の外套膜に注目したバイオミネラリゼーション機構の解明
Project/Area Number |
16658086
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
豊原 治彦 京都大学, 農学研究科, 助教授 (90183079)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 徹 東北大学, 農学研究科, 教授 (70344330)
|
Keywords | scallop / Ca^<2+> / transporter / oyster / biomineralization |
Research Abstract |
マガキの貝殻再生の様子を、光学顕微鏡により観察した.その結果,18時間後に殻体の外から1mm程の透明な薄い貝殻が作られ、貝殻の表面上に年輪のような模様も観察された。96時間後には,透明に近かった貝殻が灰色に色づいてきて、それまで再生貝殻の裏に透けて見えていた外套膜縁部や央部が見えづらくなってきた。6日後には,削った部分のうち、端の部分で再生した貝殻が接触するようになり、さらに7日後には左殻と右殻が中央部分で接触し、9日後にはほぼ全ての部分で左殻と右殻が接触し閉じた形となった.1ヶ月後には貝殻の色がさらに濃くなってきていることが観察された。 カルシウム輸送に関わるトランスポーター遺伝子をホタテガイならびにマガキからクローニングした.いずれのトランスポーターも約500アミノ酸からなる12回膜貫通領域をもつタンパク質をコードしていた.また、mRNAの3'非翻訳領域に哺乳類の金属トランスポーターにおいて報告されているiron responsible elementを持たないことから、この金属トランスポーターの発現は、鉄イオン濃度により調節されていない可能性が示唆された.アフリカツメガエル卵母細胞を用いた発現実験において,ホタテガイ金属トランスポーターは,哺乳類のホモログタンパク質では阻害的に働くとされるカルシウムイオンに対して強い輸送活性を示した.特に,海水中のカルシウムイオン濃度に匹敵する10mMという高濃度においても輸送活性を示したことは特筆される.また、これらの輸送体は鰓,外套膜,小腸,中腸腺で強く発現していたことから、これらの組織において盛んにカルシウムが取り込まれていることが推測された,また,マガキではとくに血球において強く発現していたことから,血球が貝殻形成に関わっている可能性が示唆された.
|
Research Products
(1 results)