2004 Fiscal Year Annual Research Report
農業・農村におけるブランド・マネジメントの確立と意匠力評価手法の開発
Project/Area Number |
16658088
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 房雄 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (30221774)
|
Keywords | マーケティング・ミックス / 関係性マーケティング / 協働型マーケティング / SWOT分析 / ブランド・コミュニケーション |
Research Abstract |
ここ数年で失った消費者と生産者の「信頼」関係を再構築するとともに、停滞著しい農村の活性化を図るために、豊かな意匠力に裏付けられた「ブランド」を生産者が自ら確立していくことが効率的かつ効果的であると考え、近年先進的に「ブランド」構築に取り組み消費者・生活者の支持を得ている農業経営体を対象にブランド・マネジメントの実態調査を行なった。 その結果、農畜産物およびそれらを原料とする加工品の「ブランド」構築に取り組む農業経営体は数多く見られるものの、その大半は先進事例の模倣に留まり、オリジナリティが欠けていた。その理由として、何故「ブランド」づくりをしなければならないのかが明確に意識されていなかったり、「ブランド」づくりの専門的ノウハウを有する人材がいない、等々の問題が確認できた。 これに対してすでに「ブランド」が定着している伊賀の里モクモク手づくりファームやJA馬路村では、事業立ち上げ当初からデザイナーやイラストレーターなど外部専門家と提携し、訴求力の高い顧客獲得戦略を採用していた。具体的には、消費者の「共感」を覚醒させる物語性の創造とパッケージデザインやロゴなどの開発、およびリピーター率を向上させる顧客管理手法の実践である。 また、これら先進事例では、職員の外部研修をはじめ、ブランド推進室を新設するなど外部専門家のノウハウの内部化も着実に進めている点が特徴的である。 その一方で、外部デザイナーと提携しながらも、いまだ「ブランド」力の弱い農業法人も見られる。次年度は、それら事例の取り組みを比較検討しながら「意匠力」評価手法の開発に取り組むこととする。
|