2004 Fiscal Year Annual Research Report
黒ボク土と土壌菌類を利用した家畜ふん尿処理のためのバイオリアクター開発
Project/Area Number |
16658091
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
登尾 浩助 岩手大学, 農学部, 助教授 (60311544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立石 貴浩 岩手大学, 農学部, 助教授 (00359499)
颯田 尚哉 岩手大学, 農学部, 助教授 (20196207)
溝田 智俊 岩手大学, 農学部, 教授 (10089930)
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Keywords | 家畜ふん尿 / 窒素の無機化 / 硝化 / 脱窒 / 尿素 / Coprinus / アンモニア菌 / 尿素分解 |
Research Abstract |
窒素軽減バイオリアクターの開発のための予備調査として、家畜ふん尿施用現場での窒素動態の現状を評価した。2004年の調査では、家畜ふん尿施用後の表土では、無機化、硝化、脱窒が同調的に進行しており、生成した一部の硝酸は地下水に流入していることが示された。また、家畜ふん尿に含まれる尿素を分解する細菌類の土壌中の生菌数(CFU)を希釈平板法により測定したところ、1g乾土あたり10〜100,000個と採取時期により大きく変動したが、培養可能な全従属栄養細菌数に対する尿素分解細菌の割合は12〜18%の範囲にあった。以上のふん尿施用現場での調査結果は、家畜ふん尿由来の窒素の無機化の抑制に対して、無機化した窒素が土壌中に遊離することなく不動化されるプロセスの必要性を強く示唆した。本研究では、無機化した窒素をすみやかに不動化する方法として高等菌類の生理的特性を利用するが、その目的にあう菌類をスクリーニングするため、牛ふん尿放置現場で発生した担子菌子実体を採取し、純粋分離に供試した。子実体の形態的特徴よりCoprionus spp.と同定されたが、種の同定までは至らなかった。Coprinus spp.の滅菌したイナワラへの接種試験では、ワラ全体に栄養菌糸が広がり、光照射下で、容易に子実体を形成し、その形態的特徴は、採取した子実体と同一の特徴を有した。同菌の尿素およびセルロースの分解特性を、それぞれの成分を窒素源および炭素源として添加した平板を用いて定性的に評価した。その結果、尿素分解活性は顕著であったが、セルロース分解活性は小さかった。以上の培養による定性的な試験では、家畜ふん尿の堆肥化において混合する枯死草本をCoprionus spp.が炭素源として利用することが可能であり、ふん尿中の主要な有機窒素化合物である尿素を分解し、それを窒素源として利用できることを示しており、ふん尿由来窒素を不動化する微生物資材の微生物種の候補として利用可能であることが示された。
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