2005 Fiscal Year Annual Research Report
黒ボク土と土壌菌類を利用した家畜ふん尿処理のためのバイオリアクター開発
Project/Area Number |
16658091
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
登尾 浩助 明治大学, 農学部, 助教授 (60311544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立石 貴浩 岩手大学, 農学部, 助教授 (00359499)
颯田 尚哉 岩手大学, 農学部, 助教授 (20196207)
溝田 智俊 岩手大学, 農学部, 教授 (10089930)
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Keywords | 家畜ふん尿 / 窒素の無機化 / 硝化 / 脱窒 / 尿素 / Coprinus / アンモニア菌 / 尿素分解 |
Research Abstract |
本研究では、無機化した窒素をすみやかに不動化する方法として高等菌類の生理的特性を利用するが、昨年度、牛ふん尿放置現場で発生した担子菌子実体を採取し純粋分離した供試菌Coprinus sp.SIU1およびSIU2の2株の基質分解能および窒素利用特性を評価した。定性的な評価では供試菌SIU1およびSIU2は、糞尿中の主要な有機態窒素化合物である尿素、タンパク質を分解利用でき、炭素源としてセルロースを分解し基質として利用できることがわかった。現地に施用するふん尿スラリーの窒素成分を分析したところ、その大部分はアンモニア態窒素であり、圃場に施用した時の土壌中の窒素濃度は0.25mgN/g乾土であることがわかった。そこで、供試菌SIU1およびSIU2のアンモニア利用特性について分析した。ポテトデキストロース培地を基礎培地として、これにNH_4Clを添加した培地に、SIU1およびSIU2を接種し、暗所25℃で2週間培養した。その結果、SIU1およびSIU2は、培地中に存在する窒素源のうちアンモニア態窒素を優先的に利用していることがわかった。高濃度のアンモニアが存在する条件や、アルカリ条件下(pH8.5)では、SIU1およびSIU2の栄養菌糸の成長が抑制されていた。一方、pH4.3〜5.3の範囲でアンモニア態窒素の濃度が0.25〜0.5mg N/mlの条件では、栄養菌糸のアンモニアの吸収は最適であった。この濃度は、スラリー施用圃場での土壌中のアンモニア態窒素濃度とほぼ一致した。そこで、SIU1およびSIU2を2週間暗所25℃で培養したところ、この供試菌による窒素不動化量は、スラリー施用圃場において、1m^2あたり約5gのアンモニア態窒素に相当した。このことは、これら供試菌が、微生物資材としてスラリー施用土壌に導入された時、最大で5gの窒素が不動化できる可能性を示唆している。
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