2004 Fiscal Year Annual Research Report
細胞膜の水透過性に及ぼすアクアポリンの消失と葉菜類の貯蔵性に関する研究
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16658096
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大下 誠一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (00115693)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧野 義雄 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 講師 (70376565)
川越 義則 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (80234053)
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Keywords | 浸透水透過係数 / ホウレンソウ / プロトン緩和時間 |
Research Abstract |
ホウレンソウ葉部の浸透細胞膜水透過係数L_pを測定し、貯蔵中の経時変化を明らかにした。水透過係数の測定には、葉細胞から単離したプロトプラスト内外に浸透圧差を与えたときのプロトプラスト体積変化を利用した直接測定を用いた。直接測定では、プロトプラスト外溶液の浸透圧を瞬時に変化させることが測定法の前提条件である。そこで、マイクロチャンネル内にプロトプラストをトラップし、そこに浸透圧の異なる溶液を2層流として流し、液流量の制御により両液の境界面を瞬時に移動させる方法を考案し(2層流法)、これを用いた。 研究室内で養液栽培したホウレンソウ(メガトン,タキイ種苗)を収穫後、2℃及び20℃で保存し、1日ごとに細胞膜水透過係数L_pを測定して、経時変化を求めた。その結果、2℃で保存したホウレンソウのL_pは1.5x10^<-13>m s^<-1>Pa^<-1>程度で保存中に大きな変化を示さなかった。一方、20℃保存の場合は、収穫直後に1.5x10^<-13>m s^<-1>Pa^<-1>程度であったL_pが5日後には3.5x10^<-13>m s^<-1>Pa^<-1>を超える値まで増大した。L_pが増大する原因には水チャネルの発現量の増加に伴う水輸送活性の促進、または、リン脂質二重膜のパッキングが不完全となって生じる細胞内水の漏出が挙げられる。実験に用いたホウレンソウに関して、水チャネルの一つであるPM28AのmRNA生成量が、収穫されてから1日後に収穫直後の約50%に減少したことが認められたので、20℃保存におけるL_pの増加は、主にリン脂質二重膜の劣化の進行によるものと考えられる。
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Research Products
(1 results)