2004 Fiscal Year Annual Research Report
亜臨界水・水熱反応を用いた食肉資源のネオプロセシングに関する基礎的研究
Project/Area Number |
16658101
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
西邑 隆徳 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (10237729)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 昭仁 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (50125027)
若松 純一 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助手 (30344493)
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Keywords | 食肉 / 亜臨界水 / 水熱反応 / タンパク質 / ペプチド / アミノ酸 / 機能性物質 |
Research Abstract |
1.亜臨界水・水熱反応による食肉タンパク質の分解様相 亜臨界水・水熱反応の諸条件(温度、時間)が食肉タンパク質の分解様相に及ぼす影響を明らかにすることを目的に、牛肉(胸最長筋)を各種温度条件で一定時間(10分間)水熱反応処理した。 総遊離アミノ酸量は水熱処理温度250℃まで増加したが、270℃処理の総アミノ酸量は250℃処理のそれと変らなかった。また、水熱処理温度の増加に伴いアンモニアの生成量が増加した。カルノシン(抗酸化作用、抗腫瘍作用、創傷治癒促進作用、抗疲労効果などの作用を有するジペプチド)は180℃で水熱処理することによって2.7倍に増加したが、220℃以上の水熱処理では、対照区(無処理、常温で得た牛肉ホモジネートのろ液)に比べて低下する傾向が認められた。水熱反応を軽く(比較的低い温度で)作用させるとカルノシンの遊離が促進されるが、強い(比較的高い温度)条件で水熱処理すると、カルノシン(ジペプチド)が加水分解を受けβアラニンとL-ヒスチジンに、あるいは、それ以上に分解してしまうものと思われる。タウリン(血圧降下作用、コレステロール低下作用などを有する含硫アミノ酸)も180℃で水熱処理することによって対照区(無処理)の約1.7倍に増加したが、200℃以上では水熱処理温度の増加に伴い低下した。一方、リジン(カルシウムの吸収促進、ブトウ糖の代謝促進、肝機能亢進などの生理機能)は200℃以下の水熱処理では対照区に比べて増加が認められなかったが、220℃以上で水熱反応温度の上昇に伴い遊離量が増加する傾向が認められた。270℃処理で無処理(対照区)の約17倍となった。 今後は、各種水熱反応条件で得られたペプチドの分析を行うととともに、それらの機能性について細胞を用いた検討を行う予定である。
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