2004 Fiscal Year Annual Research Report
暑熱環境不適応による初期胚死滅の分子機構解明と熱帯畜産への応用
Project/Area Number |
16658102
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
金井 幸雄 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (40015871)
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Keywords | 熱帯畜産 / 暑熱ストレス / 酸化ストレス / 初期胚死滅 / グルタチオン / 細胞周期 |
Research Abstract |
熱帯という地域の自然的・社会的諸条件(在地性)を出発点とする新しい畜産学の体系化、すなわち、熱帯畜産学の創成を求め、本研究では家畜繁殖学領域からのひとつの試みとして、熱帯畜産の潜在的制約要因である高能力家畜の暑熱環境不適応による母体の体温上昇に起因する初期胚死滅現象を取り上げ、その分子機構を明らかにしようとした。本年度は、研究代表者らが確立したマウス実験モデルを用い、暑熱ストレスは母体内の酸化ストレス亢進を介して胚死滅を誘発するとの仮説を検証した。その概要は、以下のとおりである 1.初期胚死滅に関わる胚と卵管組織の相互作用に関する解析 排卵直前の卵子成熟期または排卵・受精直後に母体暑熱感作を負荷し、1細胞期胚を回収してグルタチオン含量(GSH)と発生能について解析した。その結果、GSHの低下と初期胚死滅の増加は受精直後に暑熱ストレスを受けた1細胞期胚に認められることを明らかにした(業績1)。 2.初期胚死滅の引き金になる2-cell blockに関する解析 細胞周期の実行因子であるCdc2に着目して、暑熱感作胚におけるCdc2の挙動を分析した。その結果、暑熱ストレス胚では卵管との相互作用により、Cdc2の不活化が起こり細胞周期が停止することを明らかにした(業績2)。 3.母体暑熱感作による卵管・体組織の酸化ストレス亢進に関する解析 暑熱ストレスにより卵管・肝臓組織の酸化ストレスが増大し、胚のDNA損傷の増加と胚発生の停止が誘発されることを明らかにした(業績3)。
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Research Products
(3 results)