2004 Fiscal Year Annual Research Report
日本産絶滅危惧種における野生復帰ガイドラインの確立
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16658104
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
羽山 伸一 日本獣医畜産大学, 獣医学部, 助教授 (80183565)
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Keywords | 絶滅危惧種 / 野生動物 / 哺乳類 / 鳥類 / 再導入 / 野生復帰 / 希少種 / 保護 |
Research Abstract |
すでに野生下で絶滅あるいは絶滅のおそれのある野生動物を回復させるため、世界各地で野生復帰(飼育下繁殖と再導入)が試みられている。わが国でもコウノトリ、トキ、ツシマヤマネコなどで飼育下繁殖が始まり、またヤンバルクイナなど他の絶滅危惧種でも検討されている。しかし、未だにわが国では哺乳類や鳥類における野生復帰の経験が無く、その技術や制度的な検討が必要である。そこで、今年度は国内事例からの課題抽出と国外先進事例の調査を行った。 1.国内事例調査 わが国における野生復帰の具体事例として、ツシマヤマネコ(長崎県対馬市)について現地調査を実施した。その結果、野生復帰させる地域の保全と経済活動との調整(財政的インセンティブなどを含む)や合意形成手法(制度的な担保を含む)などが重要であることが明らかになった。 2.国外先進事例調査 (1)グアムクイナ:米国絶滅危惧種法に基づくグアムクイナ回復プロジェクトの実態調査を行った。本種は1981年に外来種のヘビによって野生下絶滅したが、その後、動物園飼育個体を繁殖させることに成功し、現在では約200個体がグアム島で飼育され、過去5年間で約600羽が野生復帰している。しかし、外来種対策が進まず、安定した野生個体群の形成には成功していなかった。(2)欧州における政策調査:欧州評議会環境局で欧州における野生復帰政策の調査を行った。欧州では、ベルン条約で絶滅危惧種の再導入促進が明確に規定され、また1992年以降はEUによる資金メカニズム(LIFE)によって財政支援を行っていることから、現在はxx種の大型野生動物回復計画が進行中である。(3)イベリアリンクス:2004年から始まった本種の再導入事業を調査した。現在、野生下の生息数が200頭以下と絶滅寸前の状況にあり、6頭の飼育個体をもとに飼育下繁殖がスペイン政府によって始まっている。また、これらの個体を再導入する生息地を確保するために、アンダルシア地方自治政府とWWFスペインなどのNGOが協力して約15万ha・約900名の土地所有者と管理協定が締結され、自然再生などの事業が実施されている。
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Research Products
(1 results)