2005 Fiscal Year Annual Research Report
日本産絶滅危惧種における野生復帰ガイドラインの確立
Project/Area Number |
16658104
|
Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
羽山 伸一 日本獣医畜産大学, 獣医学部, 助教授 (80183565)
|
Keywords | 絶滅危倶種 / 野生動物 / 喃乳類 / 鳥類 / 再導入 / 野生復帰 / 希少種 / 保護 |
Research Abstract |
すでに野生下で絶滅あるいは絶滅のおそれのある野生動物を回復させるため、世界各地で野生復帰(飼育下繁殖と再導入)が試みられている。わが国でも2005年9月に兵庫県豊岡市でコウノトリの野生復帰が行われた。これは大型野生動物でわが国初めての野生復帰となった。そこで、ガイドラインの確立の観点から、この野生復帰の準備段階から実際の放鳥、さらに放鳥後の個体の行動などを調査するとともに、ここまでにいたる社会制度的な整備状況も調査した。 その結果、今回の野生復帰に利用し、また国際的な再導入のガイドラインともなっている「IUCN(国際自然保護連合)再導入ガイドライン」は、個別の再導入に対応するように、関係者の合意形成により修正あるいは詳細化する必要があることが明らかとなった。 また、今年度は、国際的な再導入の行動計画作りを支援しているIUCNのCBSG(保全繁殖専門家グループ)によるPHVA(Population & habitat viability analysis)ワークショッププロセスに注目し、この技術的支援システムが個別種の再導入ガイドラインづくりに貢献していることが明らかとなった。そこで、CBSG本部(米国ミネソタ州)の訪問調査と、実際のPHVAワークショップの参加(カナダ・クロアシイタチ)、さらには日本で始めてのワークショップ開催(対馬・ツシマヤマネコ、沖縄・ヤンバルクイナ)を行った。 その結果、このPHVAワークショッププロセスは、関係者の合意形成や、具体的な行動計画作りにきわめて効果的であり、これらを通じて個別種における再導入ガイドラインを作成することが実効性が高いことが明らかとなった。
|