2004 Fiscal Year Annual Research Report
ウシ腸管上皮幹細胞株の樹立とM細胞分化誘導モデルの確立
Project/Area Number |
16658107
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
麻生 久 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (50241625)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 康一 東北大学, 農学研究科, 助手 (80261494)
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Keywords | ウシ腸管上皮細胞株 / BIE-T細胞 / M細胞分化 / Musashi抗原 / 腸管上皮幹細胞 / 微絨毛 / トランスウエル培養 / 腸管リンパ球 |
Research Abstract |
黒毛和種牛胎仔(202日齢、雄、11.6kg)の小腸上部腸管から片刃カミソリを用いて上皮層を剥離し、初代培養を行った。上皮細胞様形態を有する細胞の増殖が確認された時点で、限界希釈培養によりクローニングを行い、SV40による不死化を行った。樹立に成功したウシ腸管上皮細胞株(BIE-T)は上皮細胞マーカーのサイトケラチンk8.13が陽性であり、腸ホルモンであるセクレチンの合成能を有していた。12日間培養後の細胞表面を走査型電子顕微鏡により観察したところ、腸管上皮細胞に特徴的な微絨毛形成が認めたれた。また、BIE-T細胞は、優れた増殖能を有し、腸陰窩底部の幹細胞のマーカーであるmusashi抗原が陽性であったことより、腸管上皮幹細胞に近似した細胞であることが考えられた。BIE-T細胞をトランスウエルで培養したところ、培養1日目より細胞密度は高値となり、細胞間接着度は培養1日から増加して培養4日で最高値に達し、その後維持された。次に、M細胞分化誘導系の確立を試みた。BIE-T細胞を培養したトランスウエルの底部にシリコンチューブを装着し、倒置後に種々のリンパ球を加え、さらに3日間培養した。シリコンチューブを取り除いた後に正置培養を行い、FITC標識ビーズを加え、腸管上皮細胞に取り込まれ、下部に通過したビーズ数を測定した。マウス腸管リンパ球との共培養を行ったところ、リンパ球非添加実験区に比べて有意なビーズの取り込みが認められ、腸管上皮細胞のM細胞への分化誘導が確認された。しかし、マウス脾細胞およびウシ末梢血単核球のM細胞分化誘導能は、腸管細胞に比べ弱いものであった。また、長期培養した腸管上皮細胞では、ビーズの輸送能は低下し、リンパ球によるM細胞への分化誘導率も著しく低下していた。以上より、樹立したウシ腸上皮細胞株(BIE-T)はM細胞への分化能を有することが確認された。
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Research Products
(6 results)