2005 Fiscal Year Annual Research Report
ウシ腸管上皮幹細胞株の樹立とM細胞分化誘導モデルの確立
Project/Area Number |
16658107
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
麻生 久 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (50241625)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 康一 東北大学, 大学院・農学研究科, 助手 (80261494)
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Keywords | マウス腸管上皮細胞株 / MIE細胞 / M細胞分化 / Musashi抗原 / Hes1抗原 / 微絨毛 / トランスウエル培養 / 腸管リンパ球 |
Research Abstract |
限界希釈法により樹立した細胞株は、敷石状の形態を呈し、上皮細胞マーカーcytokeratinが陽性であることより、マウス腸管上皮細胞株(MIE細胞:murine intestinal epitheliocyte)であることが証明された。MIE細胞は、極めて優れた増殖能を有しており、その細胞表面上には微絨毛構造を形成し、その数は培養日数の経過に伴い増加することが判明した。また、tight junction関連タンパク質であるZO-1、claudin 1およびadherens junction関連タンパク質であるbeta-cateninが細胞間隙に局在し、上皮細胞の特徴である強固な細胞間接着装置が形成されていることが示唆された。MIE細胞は腸管上皮幹細胞のマーカーであるMusashi-1および未分化細胞マーカーのHes 1を発現していることより、腸管上皮幹細胞に近似した未分化な細胞であることが示唆された。トランスウエル上で3日間の前培養を行ったMIE細胞を用いて、腸管リンパ球と18時間共培養を行ったところ、MIE細胞は著しい高分子(microsphere)の基底側への輸送が確認された。共培養したMIE細胞は大量のmicrosphereを細胞内に取り込んでいることが明らかとなった。また、走査型電子顕微鏡で表面微細構造を観察したところ、共培養したMIE細胞では細胞表面の微絨毛構造が消失し、抗原取り込みに適した柔軟な可塑性を発現していることが判明した。 以上の結果より、我々が樹立したMIE細胞は、未分化な腸管上皮幹細胞に近似した性質を示し、腸管リンパ球との共培養により高分子輸送能を有するM細胞への分化能を有することが判明した。よって、MIE細胞は、腸管における上皮細胞分化機構解明にとって有用な細胞株であると考える。
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Research Products
(6 results)