2004 Fiscal Year Annual Research Report
耐熱性ATP合成酵素の回転モーターとしての特性評価
Project/Area Number |
16658139
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
三本木 至宏 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 助教授 (10222027)
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Keywords | ATP合成 / 分子モーター / 好熱菌 |
Research Abstract |
本研究では,高温環境に生息する微生物のATP合成酵素の機能解明を目指す。高温微生物のATP合成酵素は,熱やその他過酷な条件にも耐えうる可能性がある。従って,本研究から耐熱性ATP合成酵素のローターリーモーターとしての特性を工業利用するナノテクノロジーの基盤を提供する目的で研究を開始した。 ATP合成酵素は,8種類のサブユニットが生体膜内とその内側に集合して形成する巨大タンパク質複合体である。本研究で実験材料として用いる高温性の水素酸化細菌H.thermoluteolusは,生育最適温度が52℃であり,耐熱性を備えたATP合成酵素を持っていると思われる。そこで,本菌ゲノムDNAからATP合成酵素をクローン化し,その構造情報を得ることを個別目標に設定した。 ATP合成酵素の8種類のサブユニットうち,ATPの合成に直接関わるβサブユニットの配列に対応するDNA塩基配列を決定した。さらに,PCR法によって,βサブユニット遺伝子上流にATP合成酵素のγサブユニットが存在することを突き止めた。ATP合成酵素が分子モーターとして機能するためのコアとなるサブユニットは,β,γの他にαである。αサブユニットは他の微生物のATP合成酵素の遺伝子組成との共通性から,γの上流にあると思われる。現在,αサブユニット遺伝子のクローン化を行っているところである。 並行して,本菌のATP合成酵素が,実際に耐熱性を持つのかについて調べることを個別目標に設定した。本菌の菌体抽出液を用いて,ATP合成の逆反応であるATP分解活性を追った。大腸菌の菌体抽出液を実験対照としたところ,本菌由来の活性が極めて熱に安定なことを明らかにした。
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Research Products
(1 results)