2004 Fiscal Year Annual Research Report
X線解析を目指した多剤耐性ポンプMDR1の大量発現系の構築と結晶化
Project/Area Number |
16659012
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加藤 博章 京都大学, 薬学研究科, 教授 (90204487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小段 篤史 独立行政法人理化学研究所, 速度論的結晶学研究チーム, 連携研究員 (80360543)
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Keywords | P糖タンパク質 / X線結晶解析 / バキュロウイルス / 多剤耐性 / MDR1 / 結晶化 / 昆虫細胞 / 膜タンパク質 |
Research Abstract |
ヒトの多剤耐性ポンプMDR1のX線結晶構造解析を行うため、同遺伝子をバキュロウイルスをベクターとして昆虫培養細胞を用いて大量に調製するための系を確立した。さらに、結晶化を目指して以下の研究を行った。 1.大量発現系の安定化 大量発現が安定して得られなかったことから、大量発現不安定化の原因を調べた結果、増幅ウィルスの品質低下が明らかとなった。そこで、増幅ウィルスの品質管理システムの確立を試みた。その結果、連続して安定な発現と生産を達成できるようになった。 2.MDR1タンパク質の安定性の向上 MDR1の異物排出活性の指標となるATP加水分解活性をモニターする手法により、界面活性剤、脂質、温度、pH、イオン強度、還元剤、特殊金属イオン、緩衝液、その他の添加物など、タンパク質の安定性が向上する因子を網羅的に検索した。その結果、とりわけ、コレステロールの添加がMDR1の安定性の維持に効果的であることが判明した。ここから得られた情報を精製操作にフィードバックし、従来よりも安定性の高い精製標品を調製できるようになった。 3.結晶化能の向上を目指した変異体MDR1の作製 結晶化能を高めるため、立体構造の不安定化に寄与するアミノ酸残基を置換した変異体MDR1の作製を試みた。これまでに、2種類の変異体ウィルスを作製し、昆虫細胞に感染させて発現を確認した。現在、精製サンプルの分子物性の解析や発現系のスケールアップを進めている。
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Research Products
(6 results)