2005 Fiscal Year Annual Research Report
X線解析を目指した多剤耐性ポンプMDR1の大量発現系の構築と結晶化
Project/Area Number |
16659012
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加藤 博章 京都大学, 薬学研究科, 教授 (90204487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小段 篤史 独立行政法人理化学研究所, 速度論的結晶学研究チーム, 連携研究員 (80360543)
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Keywords | P糖タンパク質 / 多剤耐性 / 抗ガン剤 / 構造生物学 / X線結晶学 / 構造薬理学 / 膜タンパク質 |
Research Abstract |
ヒトの多剤耐性ポンプMDR1を対象として、X線結晶構造解析を目的とした結晶化を達成することを目的として以下の研究を行なった。 1.X線結晶解析に適したMDRl結晶の調製 結晶化条件探索を広範囲に拡大するため、更なる大量生産系を構築した。すなわち、30リットル/1ヶ月の培養ペースで連続して安定な生産が可能になった。さらに、精製蛋白質の質的改善を目指し、構造安定性の向上に寄与する界面活性剤を検索した。約20種類の界面活性剤を検討した結果、1つの界面活性剤が新たに見つかった。一方、結晶化能を向上させると予想される2種類の部位特異的変異導入蛋白質を大量発現、精製することに成功した。得られた精製標品を用いて結晶化を行なったところ、微針状結晶からキューブ状の微結晶が得られた。しかし、X線を照射してもX線回折像は得られなかった。さらに改良を検討している。 2.Fab複合体調製による結晶化の支援 MDR1の細胞外ドメインに対するモノクローナル抗体を入手して検索した結果、立体構造特異的な結合をしていると示唆されるFab断片を得ることができた。そして、MDR1との複合体を形成していることがゲル濾過から示された。 3.膜蛋白質の結晶化能を把握する手法の確立 可溶性蛋白質では、精製した蛋白質溶液の動的光散乱分析により分子量分布の狭い試料は結晶化の可能性が高いことが知られている。そこで、膜タンパク質における同様の方法を検討した。その結果、電子顕微鏡を用いた蛋白質分子の直接観察およびゲル濾過法の利用により、界面活性剤の存在下でも分子量分布の広狭の違いを観測することが可能になった。
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Research Products
(2 results)