2004 Fiscal Year Annual Research Report
分子認識キャピラリーの作製とハイスループット分析システムの開発
Project/Area Number |
16659014
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Research Institution | Shujitsu University |
Principal Investigator |
片岡 洋行 就実大学, 薬学部, 教授 (80127555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三谷 公里栄 就実大学, 薬学部, 助手 (70368702)
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Keywords | 分子認識 / ハイスループット / オンライン分析システム / 分子インプリント法 / ステロイドホルモン / 内分泌撹乱物質 / 固相マイクロ抽出法 / 人工エストロゲン受容体 |
Research Abstract |
16年度は3年計画の初年度であり、分子インプリント(MI)法を利用して、キャピラリー内へ分子インプリントポリマーをコーティングする方法を考案し、人工抗体や人工受容体など生物機能を模倣した抽出デバイスを開発して、その分子認識能を評価した。特に、内分泌撹乱物質が生体内のホルモン受容体に結合して生体応答を撹乱することに着目し、MI法によりエストロゲンを鋳型とした人工ホルモン受容体を開発して、これを抽出デバイスとした内分泌撹乱物質の選択的な抽出濃縮及びHPLCと連結したオンライン自動分析法を検討した。 1.MI法により17β-エストラジオールを鋳型とした分子認識ポリマー(人工エストロゲン受容体)の合成法を検討した。女性ホルモンである17β-エストラジオール(鋳型分子)に4-ビニルピリジン(機能性モノマー)、エチレングリコールジメタクリレート(架橋剤)、アゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤)を加え、ジクロロメタンに溶かして熱重合させる時、17β-エストラジオールを分子認識するポリマーを容易に調製でき、ポリマーの形状や分子認識能、吸着性能も優れていることがわかった。 2.MI法によりポリマーをキャピラリー内キャピラリー内壁にコーティングしたエストロゲン認識キャピラリーを作成し、インチューブSPME法に適用した。フェノール性水酸基を有する天然及び合成エストロゲンに対して高い分子認識能と濃縮効果が認められたが、フェノール性水酸基を持たないステロイドホルモンにはほとんど分子認識能は示さなかった。また、フェノール性水酸基を有するイソフラボン類やビスフェノールAに対しても高い分子認識能と濃縮効果が認められたが、フタル酸エステル類やPCB、DDTなどの内分泌撹乱物質に対してはほとんど分子認識能は示さなかった。 3.5種の天然及び合成エストロゲンを分析対象として分析の最適化を検討した結果、分離カラムとしてXDB-C_8キャピラリーを用いるとき良好な分離が得られ、MS/MSを用いればpg/mLでの高感度分析が可能であった。また、上記で開発したエストロゲン認識キャピラリーを用いるインチューブSPMEとの結合により、さらに高感度なオンライン分析システムが構築でき、環境水のハイスループット分析にも十分適用できる。 現在、様々な化合物に対する分子認識キャピラリーを作成しており、複数の異なる分子認識キャピラリーをマルチチャンネル電子ピペッターに取り付けた多検体同時処理法を検討中であり、今後マイクロプレートリーダーとの結合による、ハイスループット化を目指した分析システムを開発していく予定である。
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Research Products
(7 results)