2004 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス性胃腸運動障害にからむ新規神経ペプチド・ウロテンシンIIの知覚神経刺激
Project/Area Number |
16659018
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
村山 俊彦 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (90174317)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀江 俊治 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 助教授 (50209285)
平林 哲也 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 助手 (90345025)
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Keywords | 神経ペプチド / ウロテンシン / 腸管運動 / アセチルコリン / アラキドン酸 / シクロオキシゲナーゼ / 知覚神経 |
Research Abstract |
過敏性腸症候群では消化管に過敏な運動が生じることが知られている。この原因として不安などによる中枢神経系異常が内臓知覚神経を過敏にしていることが重要視されている。私たちはその原因を「ストレスによる自律神経の失調に伴い、消化管ペプチドの恒常性が破綻し、神経ペプチドが内臓知覚過敏を惹起させることによる」のではないか、と推定した。その候補の神経ペプチドとしてウロテンシンIIに着目し、研究を行った。また、腸管運動の神経支配を調節する天然物成分や薬物の検討、また胃酸分泌の中枢神経系支配機構に関しても検討を加えた。 (1)ウロテンシンIIが神経系に存在する受容体を介して腸管運動を亢進させること、この機構にはホスホリパーゼA2の活性化、アラキドン酸代謝の亢進、シクロオキシゲナーゼが関与していることを明らかにした。またウロテンシンIIによる収縮機構にはアセチルコリン系神経の関与も推定された。 (2)民間伝承薬ミトラガイナの成分研究を行い、含まれているインドールアルカロイドがオピオイド受容体刺激活性を有すること、腸管神経系上に存在するオピオイド受容体刺激を介して腸管運動を抑制していることを明らかにした。 (3)カプサイシン感受性神経に作用する薬物ラフチジンが、神経系細胞や内皮細胞に存在するある種のCa2+チャンネルに作用することを見い出した。現在その詳細な作用機構の解明を進めている。 (4)内在性生理活性物質であるアナンダマイドが、脳内の視床下部近傍において、カプサイシン受容体でもあるTRPV1を活性化し、迷走神経系を介して胃酸分泌を亢進することを見い出した。本研究は、精神的ストレスによる過剰な胃酸分泌、ストレス性胃潰瘍の形成などの解明に手がかりを与えると推定される。
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Research Products
(4 results)