2004 Fiscal Year Annual Research Report
副互変異性構造に起因する生物活性発現と創薬化学への新展開
Project/Area Number |
16659027
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
竹内 義雄 富山医科薬科大学, 薬学部, 教授 (20111750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 朋也 富山医科薬科大学, 薬学部, 助手 (70361962)
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Keywords | 副互変異性 / フッ素 / 安定型等価体 / トリプトファン / インドレニン / チロシン / ジエノン / Selectfluor |
Research Abstract |
ケトンやフェノール構造を持つ化合物は,溶液中において一対のケト/エノール互変異性体の平衡混合物として存在する.これらの平衡においては,通常極微量に存在する副互変異性体を検出・単離することは困難である.しかしながら,有機化学反応では,短寿命ながらもこの副異性体構造がしばしば真の活性種となりうる.我々は前記と同様の現象が生体内でも起きているのではないかと考え,この検証を目的として互変異性に関与する水素をフッ素に置換した安定型等価体の合成を行った. 初めに,トリプトファンのインドール/インドレニン互変異性に着目し,その副互変異性体の含フッ素等価体として3-フルオロオキシインドリルアラニンを設計し,合成を試みた.まず,カルボキシル基およびアミノ基が保護されたトリプトファンをアセトニトリル/水中,Selectfluorで処理し,保護された3-フルオロオキシインドリルアラニンを得た.これらのジアステレオマー分割はシリカゲルクロマトグラフィーにより行うことができた.次に得られた保護体の脱保護を検討したところ,塩基性および還元条件下での反応では複雑な生成物を与えた.一方,酸性条件下での反応では少量の副生成物との混合物ではあるが高収率で目的物が得られた.なお上記のフッ素化法は,トリプトファンから生合成されるメラトニンにも適用可能であった. 次に,チロシンのフェノール/ジエノン互変異性に着目し,その副互変異性体の含フッ素等価体の合成を試みた.上記の場合と同様に数種の保護チロシンをSelectfluorで処理し,フェノールのオルト位がフッ素化された化合物と共に目的の含フッ素等価体を保護体として得た.しかしながら,これらの酸性,塩基性,および還元条件下での脱保護反応ではいずれの場合においても副反応や分解反応が起こり,目的物は得られなかった.現在新たな保護基を用いた合成と脱保護の条件検討を試みている.
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