Research Abstract |
本研究は,薬剤分子を一定方向に固定することで分子の一面のみを標的と相互作用させ,その薬剤が持つ薬理活性がどのように変化するかを調べ,キラリティーを超えるドラッグを作り出すことを目的としている.そのために,本年度は,薬剤分子を固定するための剛直かつ直線構造を持つポリイン(連続する三重結合)側鎖の合成について検討した.まず4位置換フェノールをトリフラート化したのちピロリジン中TMS-アセチレン,ジクロロビストリフェニルボスフィンパラジウム,ヨウ化銅を用いた園頭反応を行ったが,目的物の生成は確認できなかった.そこで,アセトニトリルを溶媒としてTMS-アセチレン,ジクロロビストリフェニルホスフィンパラジウム,トリエチルアミンにより反応を行ったところ,目的とするアセチレン化合物(1)を78%の収率で得ることに成功した.次に,ポリイン側鎖構築のためにアセチレンの増炭の条件検討を行った.先に合成した(1)を脱シリル化,次いでブロモ化した後,TMS-アセチレンとのカップリング反応を行ったところ,目的とするジイン(2)を51%の収率で得た.これによりアセチレン増炭の反応条件が確立できたので,今後,目的とする長さのポリイン側鎖を合成していく予定である.薬剤分子のモデルとして我々が選択したブレフェルジンA(BFA)に関しては,4位及び7位ヒドロキシル基の選択的保護・脱保護の反応条件を検討しており,7位ヒドロキシル基選択的にポリイン側鎖を導入できる条件を現在検討中である.
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