Research Abstract |
SeトランスポーターであるSePの細胞への結合様式,取り込み機構について研究を行った. 放射標識SePの調製 Se75を添加した培地で肝細胞腫Hep-G2を培養し,回収した培養上清から,Ni-NTA agaroseを用いて,放射標識SePを単離した. Seトランスポーターの運搬・取り込み機構の解析 Jurkat細胞に可変量の放射標識SePを加え,4℃で1時間反応した.反応終了後,細胞への結合量を測定し,スキャッチャードプロットを行った.その結果,SePに対する受容体の数は2,200±1,500per cell(n=4,mean±SEM),解離定数Kdは0.67±0.33nMと求められた. また,放射標識SePとJurkat細胞を反応後,架橋試薬を加えた試料についてSDS-PAGEとオートラジオグラフィで解析を行い,SeP受容体の存在を調べた,その結果,架橋試薬disuccinimidyl suberateと反応した場合,試薬無しで見られた66KDaのバンド(SePに由来)は消失し179KDaのバンドが新たに出現した.500倍量の非標識SePを共存するとこのバンドは消失することから,この反応が特異的であることが確認された.両者の差,すなわち110KDaのSeP受容体の存在が示された. SePがJurkat細胞にSeを供給していることを確かめるため,細胞と放射標識SePを37℃で3日間培養後,細胞内のSe含有蛋白質の新規合成が行われているかSDS-PAGEとオートラジオグラフィで解析を行った.55,23,20及び15kDaのバンドが認められ,これらのバンドが抗SeP抗体で免疫沈降されないことから,新規Se含有蛋白質の合成が確認された. 以上の結果から,SeP受容体の存在とSePがこの受容体を介して細胞内にSeを供給していることが証明された.
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