2004 Fiscal Year Annual Research Report
エストロゲン受容体遺伝子多型が更年期症状の強さに及ぼす影響
Project/Area Number |
16659036
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
上野 光一 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (60125903)
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Keywords | エストロゲン受容体 / 遺伝子多型 / 性差医療 / 更年期障害 / 薬物適正使用 |
Research Abstract |
実施に先立ち、東金病院と千葉大学大学院薬学研究院それぞれの倫理審査委員会の承認のもと、千葉県立東金病院を受診した女性患者を対象に検討した。エストロゲン欠乏で生じ、エストロゲンの補充で著明に改善する更年期障害の主要な自覚症状の一つである「のぼせ・ほてり」をはじめとする血管運動神経症状の強さ及び頻度がエストロゲン受容体(ER)の遺伝子多型と関係するかを解析し、ホルモン補充療法(HRT)の根拠ある治療に貢献することを目的に、ホルモン補充療法のテーラーメイド医療の確立を目指して、ホットフラッシュの強さ(頻度)とER遺伝子多型との相関について解析した。具体的には、のぼせ・ほてり・発汗の強さと頻度、不眠、いらいら、うつ症状の有無などで群別し、当該患者のDNA解析を行う。前記ERβのジヌクレオチドリピート並びにER遺伝子の変異部位を決定し、遺伝子多型と臨床パラメーターの相関性を解析した。抽出されたDNAを用い、キャピラリーシークエンシング法及びWAVE法によりリピート回数を決定し、これらの遺伝子解析結果と臨床パラメーターの相関を解析した。 ERβのCAリピート多型解析の結果、SLジェノタイプの患者は更年期障害の血管運動神経症状のリスクおよび精神神経症状のリスクが有意に低く、ホルモン補充療法の必要性も有意に低かった。このことから、CAリピート多型と更年期障害の発症リスクとの示唆され、本研究の作業仮説の正しさが明らかになった。この結果は、国際誌Gender Medicineに投稿し掲載が受理された。次年度は、遺伝子多型と薬剤使用動向と薬物効果との相関を検討し、医薬品適正使用におけるエビデンスの蓄積を図る予定である。
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Research Products
(2 results)