2004 Fiscal Year Annual Research Report
改変型アデノウイルスベクターを用いたin vivo胎盤毒性評価系の構築
Project/Area Number |
16659039
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中西 剛 大阪大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (50303988)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 慶一 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (90068247)
中川 晋作 大阪大学, 薬学研究科, 助教授 (70207728)
水口 裕之 国立医薬品食品衛生研究所, 基盤研究第3プロジェクトチーム, 副プロジェクト長 (50311387)
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Keywords | アデノウイルスベクター / 胎盤 / 発生毒性 / 内分泌撹乱作用 / 種差 |
Research Abstract |
本研究では、医薬品等の化学物質の毒性や副作用の標的臓器として胎盤に注目し、いかなる胎盤機能(遺伝子)が変化した場合に、胎児に対してどのような影響が及ぶのかをin vivoで簡便に検討を行うことが可能な評価系の構築を最終目標としている。そこで、化学物質により変動が認められた胎盤中の遺伝子を、胎盤特異的に発現させて胎児への影響を検討するために、胎盤特異的に遺伝子を発現させるシステムの構築を比較的に容易にin vivoでの遺伝子導入が可能なアデノウイルスベクター(Ad)を用いることで行った。齧歯類胎盤のgiant cellに特異的発現するplacental lactogen(PL)IおよびIIのそれぞれ転写開始点から上流-280bpと-2643bpのDNA断片をマウスのゲノムからクローニングし、下流にルシフェラーゼ発現遺伝子を連結してレポーター遺伝子を作成した。これらの遺伝子発現をラット胎盤細胞Rcho-1細胞とマウス繊維芽細胞株であるL929細胞に発現させて比較検討したところ、プロモーター依存的にRcho-1細胞でのみ高い発現を示すことが明らかとなった。Adを用いて胎盤機能修飾モデル動物の作成を行うために、Adの胎盤への遺伝子導入効率について検討を行った。しかし静脈内投与では、野生型のAd(WT-Ad)は、肝臓での発現が顕著に高く、胎盤での発現は肝臓と比較してわずか0.1%程度であったが、この問題を解決するためにウイルスのファイバー部分にRGD配列を持たせた改変型アデノウイルスベクター(RGD-Ad)を用いて検討を行ったところ、胎盤での発現はWT-Adの約100倍に上昇した。これにより胎盤への簡便な遺伝子導入が可能となり、胎盤の遺伝子変動に伴う発生毒性評価を行うことができると考えられる。
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