2004 Fiscal Year Annual Research Report
抗がん剤の重篤な副作用である口内炎を軽減する薬物の探索
Project/Area Number |
16659043
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Research Institution | Shujitsu University |
Principal Investigator |
牧野 和隆 就実大学, 薬学部, 教授 (80368703)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加地 弘明 就実大学, 薬学部, 助手 (10368706)
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Keywords | 癌化学療法 / 口内炎 / hydroxyl raical / superoxide radical / ESR / cepharanthine |
Research Abstract |
癌化学療法の副作用の一つである口内炎は、摂食や睡眠を障害し、患者のQOLを著しく低下させる。口内炎の原因に、抗癌剤により産生されるラジカルの影響が考えられる。口内炎の治療には、allopurinolやcamostat mesilateの含嗽液などが用いられるが、これらの薬物には直接ラジカルを捕捉する作用はなく、その効果や作用機序は十分な検討がなされていない。我々はラジカル消去活性を持つ薬物の口内炎治療への応用研究を進めており、cepharanthineにラジカル捕捉活性を含めた様々な酸化ストレス抑制効果がある事を見出した。 方法として2,2-Diphenyl-1-picrylhydrazyl及び2,2'-Azino-bis(3-ethylbenzothiazoline-6-sulfonic acid)ラジカルの捕捉活性は、それぞれ524nm、730nmの吸光度を測定することにより評価した。また、フェントン反応により生成されるhydroxyl raical (HO・)およびhypoxanthine-xanthine oxidase反応系により生成されるsuperoxide radical (O_2^-)は、ESRを用いて測定し、各薬物の評価を行った。さらに、膜の脂質過酸化抑制能は2,2'-Azino-bis(isobutyramidine)dihydrochloride (AAPH)誘導性のヒツジ赤血球(SRBC)溶血反応により評価した。 その結果、cepharanthineは各ラジカル種の消去効果を有していた。また、AAPH誘導性SRBC溶血反応を有意に抑制しており、AAPHラジカルも捕捉していたことから、cepharanthineによる膜の脂質過酸化抑制機構は直接的なラジカル捕捉作用によるものと示唆された。なお製剤のセファランチンは膜の脂質過酸化抑制効果がより強かった。一方、対照群として用いたallopurinol、camostat mesilateはラジカル捕捉以外の作用により、各々O_2^-、HO・を消去する効果のみであった。以上より、抗癌剤が発生するラジカル種を見極め、それに対応する薬物を選択することにより、口内炎発症抑制効果の増強が期待できると考えられた。また本法は口内炎予防薬を探索する系として有用と思われる。
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