2006 Fiscal Year Annual Research Report
抗がん剤の重篤な副作用である口内炎を軽減する薬物の探索
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16659043
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Research Institution | Shujitsu University |
Principal Investigator |
牧野 和隆 就実大学, 薬学部, 教授 (80368703)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加地 弘明 就実大学, 薬学部, 助手 (10368706)
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Keywords | がん化学療法 / 副作用 / 口内炎 / ラジカル / セファランチン / KGF |
Research Abstract |
[目的]がん化学療法による口内炎は、摂食や睡眠障害によりQOLを低下させ、さらには全身状態の悪化にもつながる重篤な副作用である。米国等では、この口内炎の治療としてケラチノサイト増殖因子(KGF)製剤が使用されている。その機序として消化管及び口腔粘膜細胞の増殖促進作用が確認されている。しかしKGF製剤は高価であり、また日本では認可されていないので、使用は困難である。そこで以前の本研究の結果より、口内炎予防が示唆されるセファランチン【○!R】及び各種のアルカロイドによるKGF産生能及び細胞の増殖能について、口腔由来の培養細胞を用いて検討を行った。 [方法]37℃、湿度95%、CO_25%の条件下、96wellマイクロプレート上で培養し、コンフルエント状態に達した培養細胞にセファランチン【○!R】および各アルカロイドを0.01から100(単位はそれぞれμg/mL,μM)の濃度で添加し、24時間又は72時間後に培養上清を回収し、産生KGF量をELISA法により測定した。また上清回収後のプレート細胞上にWST-1試薬を添加し、1時間インキュベート後に450nmの吸光度を測定することにより、細胞の増殖能を評価した。なお、上清回収までの操作は、無菌状態(クリーンベンチ内)で行い、培養細胞の培養培地としては10%FCS含有DMEMを使用した。 [結果]セファランチン【○!R】添加において、24時間暴露した上清に比べて72時間暴露した上清ではKGF産生量に減少が見られた。セファランチン添加濃度1〜5μg/mLでKGF産生量は増加し、10μg/mLで減少し始め、100μg/mLでは産生量は大幅な低下が見られた。また細胞数についても類似した結果が見られ、KGF産生量が最大となる付近で細胞数も最大となり、100μg/mLで細胞数は大幅に減少した。 従ってセファランチン【○!R】は細胞増殖能と共に細胞傷害作用があることが示された。またセファランチン【○!R】の濃度によってこれらの作用が異なり、高濃度ではKGF産生量及び細胞増殖能が減少した。さらに長時間暴露した場合にKGF産生量及び細胞増殖能が減少した。
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