2005 Fiscal Year Annual Research Report
異物除去機構としての細網内皮系の復活と細胞生物学的意義づけ
Project/Area Number |
16659045
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岩永 敏彦 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (10160128)
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Keywords | 細網内皮系 / SSeCKS / 類洞内皮 / クッパー細胞 / 血管内異物 / 取り込み |
Research Abstract |
昨年度の研究により、リポポリサッカライド(LPS)投与時に細網内皮系の細胞にSSeCKS(src-suppressed C kinase substrate)が特異的に発現すること、その状態において肝臓の類洞内皮とリンパ節の細網細胞による異物取り込み能が上昇することを示し、SSeCKSが細網内皮系の異物取り込み現象に関与するという結論を得た。今年度は、類洞内皮の取り込み能をクッパー細胞のそれと詳細に比較した。また、細網内皮系に属する内皮細胞には、肝類洞以外に、下垂体、牌臓、副腎などが含まれるので、こういった肝臓以外の組織における内皮の取り込み能を検証した。 肝臓の類洞内皮とクッパー細胞は正常状態でも、20nm大のラテックス粒子を取り込み、LPS刺激下でその取り込み能は上昇した。両細胞は正常状態で100nmラテックス粒子をも旺盛に取り込むが、LPS刺激下ではクッパー細胞の取り込み能だけが上昇した。500nmラテックス粒子はクッパー細胞によってのみ取り込まれた。一方、ウシ血清アルブミン(BSA)とデキストランは、類洞内皮によってさかんに取り込まれるが、クッパー細胞による取り込みはわずかであった。類洞内皮によるBSAとデキストランの取り込みはLPSによって増加した。100nm粒子を用いて肝臓以外での取り込みを観察したところ、副腎髄質と心臓の内皮細胞によってのみ有意な取り込みが見られた。しかし、血管内皮ではなく、隣接するマクロファージが取り込んでいる可能性は否定できなかった。 少なくとも肝類洞の内皮細胞はマクロファージに匹敵する異物(粒子)取り込み能をもち、炎症状態では取り込み能が増大するといえる。可溶性の高分子(蛋白質、糖)はクッパー細胞より内皮細胞が率先して取り込むことがわかった。こういった内皮の取り込み能は、現在のところ肝臓の内皮細胞に代表される。
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Research Products
(1 results)