2004 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体膜電位の光学的測定による細胞内膜系イオンチャネルの機能解析
Project/Area Number |
16659055
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
山下 勝幸 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (20183121)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉岡 美保 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (90322370)
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Keywords | 膜電位 / 小胞体 / 核膜 / カルシウム / 蛍光強度 / 電位固定 / 共焦点顕微鏡 / 網膜神経上皮 |
Research Abstract |
平成16年度では以下の2点について膜電位感受性蛍光色素[DiOC_5(3)]の光学的特性を明らかにした。 1.小胞体膜電位の変化方向とDiOC_5(3)の蛍光強度の増減の関係。 細胞質に対して小胞体内の電位が正負のどちらに変化した時に、DiOC_5(3)の蛍光強度が増加、あるいは減少するかを同定した。発生初期鶏胚の網膜神経上皮を実験対象として、DiOC_5(3)で小胞体膜と核膜を染色した後、以下の条件における蛍光強度の変化をリアルタイム共焦点レーザー顕微鏡によって測定した。核膜がDiOC_5(3)によって染色されていることは、低浸透圧溶液により細胞体を膨化させ、蛍光像と透過光像を比較することにより確認した。 (1)小胞体膜電位が負方向に変化する条件として、アゴニストであるアデノシン3リン酸を投与しカルシウム放出を起こした。また、カルシウムポンプの阻害剤(thapsigargin)を投与しカルシウムストアを枯渇させた。この場合はリークチャネルを通ってカルシウムが流出する。両者の実験条件においてDiOC_5(3)の蛍光強度は増加した。 (2)小胞体膜電位が正方向に変化する条件としては、カルシウムストアが再充填されるフェースを検討した。この場合、小胞体膜と核膜に存在する起電性カルシウムポンプが作動し、膜電位は正方向に変化する。測定の結果、DiOC_5(3)の蛍光強度は減少した。 2.膜電位変化に対するDiOC_5(3)の蛍光強度変化の定量的関係。 鶏胚の後根神経節細胞から単離したパッチ膜をDiOC_5(3)で染色し、種々のレベルに膜電位固定した。電圧-蛍光強度関係から、1mVあたり1.3%の蛍光強度変化が生じることを明らかにした。
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