2004 Fiscal Year Annual Research Report
拍動心内カルシウム及びクロスブリッジ動態のフィジオーム的解析方法論の開発と評価
Project/Area Number |
16659057
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
菅 弘之 国立循環器病センター研究所, 所長 (90014117)
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Keywords | 心臓 / 心室 / 収縮性 / 酸素消費量 / 興奮収縮率 / エネルギー効率 / カルシウム / クロスブリッジ |
Research Abstract |
これまで本研究代表者が長年に渡って一貫して解明してきたフィジオームの観点からの統合美的な丸ごと心臓ポンプ機能の中に秘められている諸要素統合のメカニズムとその背後にあるアルゴリズムを明らかにしようとするための新規な統合分析的方法論の開発を行っている。自分がこれまでに行ったイヌ摘出交叉潅流心臓標本左心室を用いて蓄積されてきた左室圧容積、収縮性、酸素消費量などのデータを上記方法論の開発に役立つようにマイニングした。その結果、一つ目として、不整脈時の収縮性変動の時定数から細胞内カルシウム再循環率を求める方法論を開発し、再循環率と酸素消費量とを組み合わせて、収縮性に対応した興奮収縮性連関カルシウム動員量や無駄カルシウムサイクリング数を求める方法を開発してきた。さらにこのような方法を用いて、カルシウム動態に直接関係するカルシウムポンプ、ナトリウムカルシウム交換機構の貢献度の温度依存性Q10を求める方法を開発し、その生理学的応用性を実験的に検証した。二つ目として、同じくイヌ摘出交叉潅流心臓標本左心室で、これまでに確立してきた酸素消費から総機械的エネルギーへの変換効率の負荷独立性から、クロスブリッジの平均的動態を推定する方法を開発した。その結果、クロスブリッジがATPから機械的エネルギーを産生する効率は60%前後と高く、かつ負荷独立性を持つことになり、そのためには、ATP1分子当たりのクロスブリッジの結合解離ステップ数は1回ではなく、等容積収縮でも数回、無負荷収縮では数10回、通常の拍出収縮では数回から数10回の範囲で負荷が小さいほど回転数が増す事が理論的に推定された。今後の更なる詳細な解析結果が期待される。
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